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2023 年度 実施状況報告書

イモリの驚異的飢餓耐性と組織再生を支えるオートファジーの制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K18219
研究機関長崎大学

研究代表者

川端 剛  長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 助教 (60734580)

研究分担者 林 利憲  広島大学, 両生類研究センター, 教授 (60580925)
研究期間 (年度) 2023-06-30 – 2026-03-31
キーワードイモリ / オートファジー / 飢餓
研究実績の概要

イモリ細胞におけるオートファジー誘導の基本的なメカニズムを解明するため、飢餓により誘導されるオートファゴソーム形成のカイネティクスを詳細に検討した。特に、哺乳類細胞との相違を明確にするため、正常細胞としてhuma dermal fibroblasts (HDF)およびMRC5細胞を、またがん細胞としてA549(肺がん細胞)およびPANC1(膵臓がん細胞)を、計4種のヒト細胞との比較検討を行った。これより、イモリ細胞は概ねヒト細胞と同程度の時間でオートファゴソーム形成がプラトーに達することが明確になった。24時間の長時間飢餓において2種類の正常ヒト細胞は富栄養条件に近い程度に戻る一方、二つのがん細胞系列ではオートファゴソーム形成能が高い状態が維持されていた。イモリ細胞では、24時間飢餓でプラトーから低下するものの、富栄養条件下よりも高いオートファゴソーム形成能を維持しており、ヒト正常細胞とガン細胞の中間の特徴を示していた。これらの知見とmTORの制御メカニズムなど他のデータと共に論文を投稿し、現在査読中である。査読者のコメントに基づき、現在、24時間よりもさらに長い3日から1週間ほどの栄養飢餓に晒された条件下におけるオートファゴソーム形成についてイモリとヒト細胞の比較検討を行った。一週間の栄養飢餓条件下において、大部分の正常ヒト細胞が死滅するのに対し、イモリ細胞は若干の細胞毒性は示すものの、大部分が生存しており、イモリ細胞がヒト細胞よりも高い飢餓耐性を示すことが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上記の通り、イモリと哺乳類細胞の飢餓誘導オートファジーにおける違いと、その生理学的意義に関する論文を英文誌に掲載するべく研究結果をまとめている。査読者の意見を取り入れ、想定よりも長い飢餓に対するイモリのオートファゴソーム形成能を検討している。それに伴い、長時間の飢餓に晒された状態のオートファジー誘導機構を明らかとし、哺乳類細胞において既知の短期間の飢餓時の応答と比較検討している。

今後の研究の推進方策

哺乳類細胞の遺伝子発現コンストラクトはそのままイモリ細胞で使用することはできないため、飢餓に応答した各種オートファジー関連タンパク質の動態を調べるためにイモリ細胞に特化したコンストラクトを作成し、詳細な解析を行う。
同様に、イモリ細胞の飢餓誘導オートファジーに加え選択的オートファジー能について検証するため、polyQコンストラクトの作成を進めている。

次年度使用額が生じた理由

研究結果発表として論文掲載を予定しているが、それに伴う経費の支出時期にずれがあるため。今後、論文が受理され掲載され次第、掲載費として使用する予定。

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公開日: 2024-12-25  

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