研究課題/領域番号 |
23K18221
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
黒柳 秀人 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30323702)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 拡張型心筋症 / mRNA前駆体 / 選択的スプライシング / ノックインマウス / 長リード次世代シーケンサー / RNA結合タンパク質 |
研究実績の概要 |
変異型RBM20に結合するRNAとタンパク質の網羅的同定について。自前で作製した抗RBM20抗体を用いた心筋の内在性RBM20の免疫沈降を行い、野生型マウス、変異型マウスをノックアウトマウスと比較する実験を計画している。未固定の内在性RBM20を免疫沈降する条件は確立でき、共沈するタンパク質の質量分析による同定を数回実施した。現在は、同定されたタンパク質が遺伝子型特異的に共沈するものか、確認の実験を行っている。共沈するRNAを調べる実験については、引き続き条件検討を行っている。近接標識により共存するタンパク質やRNAを架橋してから免疫共沈する実験についても、切片作製方法や標識方法の条件検討を行っている。 液-液相分離凝集体を形成しないと思われる家族性変異を模した新たな変異型マウスについて、表現型の観察や心機能の観察を行っているが、これまでのところS637Aマウスとは異なっている。Ttn遺伝子のスプライシングへの影響については、一定の影響がみられるものの、S637A変異マウスやノックアウトマウスと比して重篤ではない。長リード次世代シーケンサーを用いて、より正確なスプライシングへの影響を解析中である。これらの結果について、論文を執筆している。 各種変異マウスやそれらを交配したマウス、また、薬剤を投与したマウスにおける心機能の評価を行うために、琉球大学医学部附属動物実験施設に導入された小動物用超音波画像診断装置を用いて条件検討を行った。今後は、野生型マウスと変異型マウスの比較を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
SGLT2阻害薬をS637Aマウスに投与して効果を見る実験を計画していたが、まだ実施に至っていない。投与方法の検討を行うための人員の不足が大きな原因である。この点については当初計画よりも遅れている。 他の計画については概ね予定どおりであるが、その実験結果については必ずしも当初期待していたように疾患モデルマウスの病態発現機構の解明に直接結びつくものではなかった。
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今後の研究の推進方策 |
変異型RBM20と共存するタンパク質分子の同定については、引き続き実験を進めていく。質量分析によるタンパク質同定には一定の経験を得たので、近接標識法についても条件検討を進めて、新たな知見を得られるようにしたい。 Ttn遺伝子の選択的スプライシングへの影響について、長リード次世代シーケンサーを導入して、野生型とS637Aマウスの差を検出している。これまでの予備的な解析で、これまで差はないと考えていたこれらのマウスに一定の差がみられることが判り、それが表現型の差異につながる可能性があるかどうかも含めて、今後も検討する。 動物実験を進めるために、研究に興味を持つ学部学生の協力も求めるなど、具体的な対策を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に繰り越すことになった金額は少額であり、次年度の予算と合わせて、適切に執行していく。
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