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2023 年度 実施状況報告書

ミクログリア含有ヒト脳オルガノイドを用いたシヌクレイノパチー最初期病態の解析

研究課題

研究課題/領域番号 23K18253
研究機関東京大学

研究代表者

桑原 知樹  東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 講師 (10533903)

研究期間 (年度) 2023-06-30 – 2025-03-31
キーワードシヌクレイノパチー / αシヌクレイン / ミクログリア / 脳オルガノイド / LRRK2
研究実績の概要

αシヌクレイン凝集核を実験的に齧歯類脳内に接種すると、凝集核が速やかに広範囲に分布したのち一旦消失し、数ヶ月後に蓄積病変が出現するが、最初期の分布がもたらされる機構や、分布先で生じる細胞内での変化は明らかではない。一方、我々は凝集核を取り込んだ細胞からの速やかな周囲への再放出にミクログリアが関わること、その際にミクログリアにおけるLRRK2の活性化やその活性を介したリソソームの細胞外放出、および炎症応答が誘導される可能性を見出していた。本年度はまず、このようなミクログリアの応答がヒトiPS細胞由来ミクログリアにおいても認められるかを検討した。特に、LRRK2の家族性パーキンソン病連鎖変異を有するiPS細胞と、LRRK2遺伝子型を野生型に戻したiPS細胞からミクログリアを作出し、性質の比較解析を行った。結果は意外にもLRRK2の活性が高いと思われるLRRK2変異ミクログリアのほうがリソソーム細胞外放出などのLRRK2関連の表現型が弱く、iPSミクログリアにおいては未知のLRRK2変異効果があるものと考えられた。
また、実験に使用するαシヌクレイン凝集体についても変異効果を確認した。野生型、A53T変異型に加えて、比較的近年同定されたG51D変異型について、まずマウス脳における検討を行った。最初期の凝集核の分布はどの型も同程度であったが、G51D変異型は既報とも一致して神経毒性が高い傾向があり、G51D型の使用が今後有用である可能性が考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

いくつかの実験条件検討に時間を要し、脳オルガノイドを用いた解析には至っていない。

今後の研究の推進方策

これまでに作出したiPS細胞由来ミクログリアと、共同研究により作出する脳オルガノイドの共培養系を確立し、基本的な性状解析を行うとともにαシヌクレイン凝集体の伝播様式の解析を進める。細胞内において最初期に生じる変化について、既知因子に着目するとともに未知因子の変動についてより網羅的に解析を行う。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (6件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] CASM mediates LRRK2 recruitment and activation under lysosomal stress2024

    • 著者名/発表者名
      Kuwahara Tomoki、Iwatsubo Takeshi
    • 雑誌名

      Autophagy

      巻: Mar 21 ページ: 1~2

    • DOI

      10.1080/15548627.2024.2330032

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Lysosomal stress drives the release of pathogenic α-synuclein from macrophage lineage cells via the LRRK2-Rab10 pathway2024

    • 著者名/発表者名
      Abe Tetsuro、Kuwahara Tomoki、Suenaga Shoichi、Sakurai Maria、Takatori Sho、Iwatsubo Takeshi
    • 雑誌名

      iScience

      巻: 27 ページ: 108893

    • DOI

      10.1016/j.isci.2024.108893

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] The V-ATPase-ATG16L1 axis recruits LRRK2 to facilitate the lysosomal stress response2024

    • 著者名/発表者名
      Eguchi Tomoya、Sakurai Maria、Wang Yingxue、Saito Chieko、Yoshii Gen、Wileman Thomas、Mizushima Noboru、Kuwahara Tomoki、Iwatsubo Takeshi
    • 雑誌名

      Journal of Cell Biology

      巻: 223 ページ: e202302067

    • DOI

      10.1083/jcb.202302067

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] An Update on the Interplay between LRRK2, Rab GTPases and Parkinson’s Disease2023

    • 著者名/発表者名
      Komori Tadayuki、Kuwahara Tomoki
    • 雑誌名

      Biomolecules

      巻: 13 ページ: 1645

    • DOI

      10.3390/biom13111645

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ATG8結合系とLRRK2によるリソソーム恒常性維持機構2023

    • 著者名/発表者名
      桑原知樹, 江口智也, 櫻井まりあ, Yingxue Wang, 齊藤知恵子, 吉井元, Thomas Wileman, 水島昇,岩坪威
    • 学会等名
      第15回オートファジー研究会/第5回マルチモードオートファジー班会議
  • [学会発表] パーキンソン病病因キナーゼLRRK2が制御するリソソーム内容物分泌機構の解析2023

    • 著者名/発表者名
      櫻井まりあ, 桑原知樹, 江口智也, 岩坪威
    • 学会等名
      第15回オートファジー研究会/第5回マルチモードオートファジー班会議
  • [学会発表] パーキンソン病病因遺伝子産物LRRK2が制御するリソソーム分泌機構の解明2023

    • 著者名/発表者名
      櫻井まりあ、桑原知樹、今村理世、小島宏建、岩坪威
    • 学会等名
      第14回スクリーニング学研究会
  • [学会発表] マウス脳内におけるαシヌクレイン病理拡大機構に関する候補因子に着目した解析2023

    • 著者名/発表者名
      末長祥一、阿部哲郎、櫻井まりあ、桑原知樹、岩坪威
    • 学会等名
      第42回日本認知症学会学術集会
  • [学会発表] Analysis of the novel extracellular release pathway of lysosomal contents mediated by Parkinson’s disease kinase LRRK22023

    • 著者名/発表者名
      櫻井まりあ、桑原知樹、江口智也、岩坪威
    • 学会等名
      第96回日本生化学会大会
  • [学会発表] ミクログリアが関わる不溶性αシヌクレインの伝播機構2023

    • 著者名/発表者名
      桑原知樹、阿部哲郎、末長祥一、櫻井まりあ、岩坪威
    • 学会等名
      第64回日本神経病理学会総会学術研究会/第66回日本神経化学会大会 合同大会
  • [備考] 東京大学大学院医学系研究科 神経病理学分野 ホームページ

    • URL

      http://www.neuropathology.m.u-tokyo.ac.jp/

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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