研究課題/領域番号 |
23K18314
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
奥山 宏臣 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30252670)
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研究分担者 |
出口 幸一 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (00747082)
神山 雅史 大阪大学, 大学院医学系研究科, 講師 (20403074)
渡邊 美穂 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (40791728)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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キーワード | 先天性嚢胞性肺疾患 / 発生異常 / 網羅的遺伝子解析 / 肺腫瘍 |
研究実績の概要 |
先天性嚢胞性肺疾患は、小児呼吸器の発生・形成異常や低形成、成長段階での変性などに起因する希少疾患である。われわれは、先天性肺気道奇形、肺分画症、腫瘍性病変といった複数の疾患群が含まれるスペクトラムと考え、個々の病態の発生機序を肺の発生に関わる分子シグナル異常と想定してそのメカニズムや疾患分類の確立を目指している。 本年度は患者症例アーカイブの検討、臨床情報の統合とデータベース構築、病理スライドの再解析を行った。先天性嚢胞性肺疾患に含まれる疾患のうち、非常に少ない割合の一部疾患群で悪性化を認めることが、これまで症例報告されてきた。特にCPAM Type1、CPAM Type 3、CPAM Type 4とこれまで呼称されてきた疾患群で悪性化との関連が指摘されるようになり、解析ターゲットとして検討している。アーカイブの解析の結果、CPAM Type 1、CPAM Type 3と診断された症例がそれぞれ少数例ずつ確認された。さらに、CPAM Type1の病理解析の結果、組織形態学的特徴が大きく2つに分かれる可能性が示唆された。 次年度でこれらの検体を網羅的遺伝子発現プロファイルマッピングし、比較検討していく。 一方で、上記の悪性化に関連しうる疾患群が希少であることも判明した。解析対象症例の増加のため、他施設にも依頼を行い、患者検体を譲り受ける倫理審査体制を整備した。他施設の症例も病理学的に解析し、解析対象症例を増加する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先天性嚢胞性肺疾患の疾患分類のうち、一部の興味ある疾患群の症例数が予想より少ないことが判明したため、他施設より臨床検体を受け入れる体制整備を行った。倫理審査の整備は不可欠なため時間を要したが、結果的に十分な体制が整った。次年度より予定通り検体の解析を進めることが可能と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
集積した検体に対し、遺伝子解析を進める。 最近の報告で、point mutationが疾患発生メカニズムに関与している可能性が指摘されている。mutationをもった異常細胞の空間的広がりについての知見はほとんど報告されていない。そのため病変内における異常細胞の分布を解析する方法として、in situ hybridizationに着目している。本法も併用して、包括的に病変解析を進めていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
【次年度使用額が生じた理由】遺伝子解析を施行するにあたり、検体をまとめて解析にかけることが時間的・経済的コストを最小化する方法であることが判明した。そのため、本年度は検体収集とデータベース構築を優先したため、解析に使用する予定だった使用額が発生しなかった。次年度以降解析を開始するため、最終的には合計予定使用額に達することが見込まれる。 【使用計画】集積した臨床検体に対し、遺伝子解析を進める。また、最近の報告で、point mutationが一部疾患における病態発生メカニズムに関与している可能性が指摘されている。mutationをもった異常細胞の空間的広がりについての知見はほとんど報告されていないが、病変部の完全な切除・摘出を完遂するためには、異常細胞の分布を把握し、その完全切除を行うことが重要である。そのため病変内における異常細胞の分布を解析する方法として、in situ hybridizationに着目している。本法も併用して、包括的に病変解析を進めていきたいと考えている。
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