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2023 年度 実施状況報告書

異所形成モデルを用いた精子繊維鞘の形成機構解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K18328
研究機関大阪大学

研究代表者

宮田 治彦  大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (50604732)

研究期間 (年度) 2023-06-30 – 2026-03-31
キーワード鞭毛 / 繊維鞘 / 精子運動性
研究実績の概要

2023年度は、Afs1 (abnormal fibrous sheath 1) ノックアウト (KO) マウスの解析を行った。このKOマウスの精子では、繊維鞘形成の起点となる縦支柱が異所に形成される。まずは精子運動解析システム (CASA) を用いて精子の運動性を詳細に解析したところ、Afs1 KOマウスでは精子の運動率や運動速度の各種パラメーターが有意に低下していた。また、体外受精を行ったところ、Afs1 KO精子は卵子と受精しなかった。卵子の周りにある卵丘細胞の層を取り除いても、Afs1 KO精子は卵子と受精しなかった。一方、同じく卵子の周りにある透明帯を取り除くと、Afs1 KO精子でも卵子と受精することができた。よって、Afs1 KO精子は卵子透明帯を通過することができないと考えられる。
続いて、FLAGタグとビオチンリガーゼであるTurboIDが付加されたAFS1を発現するトランスジェニック (TG) マウスを作製した。このトランスジーンは、Afs1 KOマウスの生殖能力や精子運動性をレスキューすることができた。FLAG抗体を用いて、TGマウスの精巣切片の免疫染色を行ったところ、縦支柱が形成される時期の鞭毛にAFS1-FLAG-TurboIDが局在していることが分かった。一方で、精子形成後期にはAFS1-FLAG-TurboIDが鞭毛から消失していた。さらに、免疫電子顕微鏡法を用いてAFS1-FLAG-TurboIDの局在を解析したところ、精巣切片の免疫染色と同様の結果が得られた。AFS1-FLAG-TurboIDは縦支柱が形成される位置の微小管を含む、周辺微小管付近に局在していた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Afs1 KO精子は運動性低下のために透明帯を通過できないことが分かった。この精子運動性の低下は、Afs1のトランスジーンでレスキューすることができた。さらに、このTGマウスを用いてAFS1の局在を調べたところ、縦支柱の形成時期と一致することも分かった。

今後の研究の推進方策

AFS1-FLAG-TurboID のTGマウスを用いて解析を行う。まずは、FLAG抗体を用いてAFS1-FLAG-Turbo1の免疫沈降を行い、質量分析によってAFS1と相互作用するタンパク質を探索する。また、このTGマウスではAFS1にビオチンリガーゼであるTurboIDが付加されている。そこで、TGマウスにビオチンを投与することによってAFS1に近接するタンパク質をビオチン化し、質量分析を用いてビオチン化されたタンパク質を同定する。

次年度使用額が生じた理由

Afs1 KOマウスの表現型解析とAFS1の局在解析に注力したため、AFS1と相互作用するタンパク質の探索は次年度に行うこととした。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 その他

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] SPATA33はカルシニューリンをミトコンドリアに局在させることで精子運動性を制御する2023

    • 著者名/発表者名
      宮田治彦、大浦聖矢、諸星茜、嶋田圭祐、増子大輔、大山裕貴、金田侑樹、松村貴史、Abbasi Ferheen、伊川正人
    • 学会等名
      アンドロロジー学会第42回学術大会
    • 招待講演
  • [備考] 大阪大学微生物病研究所 遺伝子機能解析分野HP

    • URL

      https://egr.biken.osaka-u.ac.jp/achievement/original_articles

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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