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2023 年度 実施状況報告書

嚥下障害におけるanatomical diagnostic protocol基盤形成の試み

研究課題

研究課題/領域番号 23K18356
研究機関新潟大学

研究代表者

辻村 恭憲  新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00548935)

研究分担者 井上 誠  新潟大学, 医歯学系, 教授 (00303131)
那小屋 公太  新潟大学, 医歯学系, 助教 (10806491)
上羽 瑠美  東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (10597131)
研究期間 (年度) 2023-06-30 – 2026-03-31
キーワード嚥下 / P2X受容体 / 上喉頭神経 / ラット / ATP
研究実績の概要

本研究はイオンチャネル型ATP受容体であるP2X受容体に着目し,嚥下誘発の神経メカニズムの解明を目的としている.本年度は,最初に麻酔下ラットを対象としてP2X受容体の作用薬(αβ-methylene ATP)の嚥下誘発効果を検証した.嚥下は,極微量の液体(3μl)を喉頭に直接滴下またはフォンフライ式フィラメントによる披裂間切痕への点状機械刺激により誘発し,顎舌骨筋と甲状舌骨筋の筋活動電位変化によって同定した.αβ-methylene ATPは濃度依存的に嚥下回数を増加させ,両側上喉頭神経の切断によって嚥下誘発は概ね消失した.続いて,P2X受容体の拮抗薬であるPPADSを喉頭に前投与し,αβ-methylene ATP投与による嚥下が消失することを確認した.以上から,P2X受容体は嚥下誘発に関与し,その感覚情報は主に上喉頭神経を経由して伝達されている可能性が高いと考えられた.さらに自然刺激によって誘発される嚥下におけるP2X受容体の役割を検討するために,P2X受容体拮抗薬PPADSを喉頭に前投与し,喉頭への機械刺激と化学刺激により嚥下を誘発した.フォンフライ式フィラメントを用いた機械刺激による嚥下誘発には,ほとんど影響はみられなかった.一方でPPADS前投与により,水,クエン酸,炭酸,嚥下ナトリウム刺激誘発嚥下が抑制された.以上のことから,P2X受容体は様々な化学刺激による嚥下誘発に寄与している可能性が示された.最後に比較として,代謝共役型ATP受容体であるP2RY1受容体の拮抗薬であるMRS2175の前投与による化学刺激および機械刺激の嚥下誘発効果を検証したが,いずれの刺激による嚥下誘発にも影響を与えなかった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度はP2X受容体の作用薬と拮抗薬による嚥下誘発効果を検証し,末梢神経機構の一端の解明に成功した.

今後の研究の推進方策

P2Xサブタイプの拮抗薬を用いることで,刺激様式ごとに標的受容体を明らかとする.

次年度使用額が生じた理由

(理由)購入予定だった物品のいくつかが不要となったため.
(使用計画)次年度に使用する試薬や記録用電極の購入にあてる.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [国際共同研究] ジョンズホプキンス大学 臨床免疫学教室(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      ジョンズホプキンス大学 臨床免疫学教室
  • [学会発表] 嚥下誘発におけるP2X受容体の関与2024

    • 著者名/発表者名
      辻村恭憲,井上 誠
    • 学会等名
      第47回日本嚥下医学会学術講演会
    • 招待講演
  • [学会発表] Role of P2X receptor on the initiation of swallows in anesthetized rats2023

    • 著者名/発表者名
      Takanori Tsujimura, Satomi Kawada, Nozomi Dewa, Jin Magara, Makoto Inoue
    • 学会等名
      The 1st international conference of asian dysphagia society
    • 国際学会

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公開日: 2024-12-25  

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