研究課題/領域番号 |
23K18381
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
林 豪士 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 主任研究官 (80824648)
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研究分担者 |
村上 耕介 国立感染症研究所, 感染症危機管理研究センター, 室長 (60586973)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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キーワード | ヒトノロウイルス / 腸管オルガノイド |
研究実績の概要 |
本研究は、近年開発されたヒトノロウイルス(HuNoV)を安定的に増殖させることが可能な組織幹細胞由来腸管上皮オルガノイドを出発材料として、HuNoV感染を規定する宿主因子を同定し、より感染効率が高く、汎用性に優れたHuNoV感染培養系を樹立することを目的としている。初年度は、まず一般的な培養細胞を不死化する際に用いられる幾つかの不死化因子の単層培養した腸管オルガノイドへの導入を試みたところ、継代が可能な不死化単層腸管オルガノイドの樹立に成功した。次に、当該オルガノイドへのHuNoVの増殖を評価したところ、ウイルス増殖は認められなかった。そこで、ウイルス増殖性の喪失の要因を探るため、腸の分化マーカーなどの遺伝子発現解析を行った。その結果、親細胞と比較して、腸管細胞の分化の指標となる遺伝子の発現が低く、不死化細胞において分化が十分に進んでいないことがHuNoVの増殖の喪失に起因している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
HuNoV感染に関わる候補宿主遺伝子の選別までには至っていないものの、不死化オルガノイドの感染性喪失の一因として腸管細胞の分化が進んでいない可能性を示唆する知見を得たことから、「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
腸管細胞の分化成熟に関わる成長因子や低分子化合物の添加、関連する宿主遺伝子を過剰発現(もしくは遺伝子ノックダウン・ノックアウト)などにより、樹立した単層培養オルガノイドの分化がより誘導されるか検討する。また、分化が進んでいない不死化単層オルガノイドが選別されてしまった可能性を考慮して、3Dのオルガノイドに不死化因子を導入した後に単層培養後、分化誘導を行うことでHuNoV感染性を保持しているか検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末納品等にかかる支払いが、令和6年4月1日以降となったため。当該支出分については次年度の実支出額に計上予定であるが、令和5年度分についてはほぼ使用済みである。
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