研究課題/領域番号 |
23K18383
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
孫 略 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (40757704)
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研究分担者 |
福田 隆史 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究チーム長 (50357894)
堀口 諭吉 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (50609758)
中村 麻子 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 教授 (70609601)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 光治療 / 緊急被ばく医療 |
研究実績の概要 |
近年、紛争等で原子力施設が攻撃標的とされるなど、放射線災害の発生とそれに伴う一般市民の被ばくリスクが増大している。高線量被ばくでは、造血システムが障害を受けて免疫力低下や骨髄死が発生するため、造血機能や免疫機能の回復と再構築が最優先課題となる。また現状では、放射線皮膚炎や腸管障害に対して有効な薬剤は無く、対症療法しかない。このように急性放射線障害の治療薬の選択肢は限られており、放射線損傷の修復を促進する放射線障害軽減剤の開発が引き続き必要である。低出力レーザー治療(Low Level Laser Therapy: LLLT)は、低強度の紫外~近赤外光(370nm~800nm)を照射することによって細胞や組織の修復力亢進、抗酸化、抗炎症活性などを惹起し、生体に好ましい効果を得ようする治療である。顎関節症に伴う疼痛除去やがん化学療法に伴う重度口内炎リスク低減に対する有効性が臨床試験(RCT)にて報告されている。本研究では、放射線障害軽減剤としての光照射の利用可能性を評価する。一年目は培養細胞に光照射できるシステムを用いて、LLLTが放射線照射後の細胞の増殖能を回復させるか否かの解析を行った。また、マウスに光を照射するためのシステムを構築した。さらに動物実験計画を策定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
デバイスの開発、細胞実験、動物実験いずれも順調である。
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今後の研究の推進方策 |
マウス実験では、骨髄死(7Gy全身照射)、腸管死(12Gy全身照射)、皮膚炎(20Gy大腿部局所照射)のモデルを作製し、各種障害が軽減するか解析する。メカニズム解明については、細胞実験では、細胞老化、アポトーシス、DNA損傷、活性酸素の観点から解析する。動物実験では、幹細胞の増殖活性や存在頻度について解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
1年目は内部予算を使用して実験ができた。2年目は動物実験が多くなりコストがかかる。
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