研究課題/領域番号 |
23K18390
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡本 玲子 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60269850)
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研究分担者 |
田中 美帆 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (20893746)
酒井 規夫 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30314313)
福田 雅樹 大阪大学, 社会技術共創研究センター, 教授 (30580211)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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キーワード | 児童虐待リスク / 市町村母子保健 / 一次スクリーニング / AI / 深層学習 / 保健師 |
研究実績の概要 |
本研究では、人工知能(artificial Intelligence, 以下AI)活用による産前からの縦断的児童虐待リスク判定と体制構築に向けた基礎研究として、データ駆動社会へとデジタルトランスフォーメーション化(以下DX化)が推進される現状に対応する形で、全国の児童虐待防止と早期発見、および親子のエンパワメントをより確実にする方策を検討する。。 本研究の目的は、(1)産前からの縦断的データを用いたAIによる虐待リスクの一次スクリーニングの方法と課題を明確にすること、(2)AIによる一次スクリーニングの全国適用に向けた体制と実装の方法と課題を明確にすることである。 1年目、目的1については、AIに投入するデータの特定とデータセット化の方法に関するインタビュー調査(投入データ、データセット化の方法・促進要因・阻害要因、倫理的課題等)、および目的2についてはAIによる一次スクリーニングの全国適用に向けた体制と実装の方法と課題を明確にするためのインタビュー調査(体制構築の可能性と方法、行政風土への順応・専門職の適応・システム駆動の課題、および普及に向けた実装科学理論活用の可能性について意見収集)を行う予定であった。 しかし、現状は、分担者全員との研究会議を1回開催し、どのように調査を進めるか、対象の選定方法、質問紙の作成方法といった、調査準備の検討を行う段階に留まった。調査項目選定の一環としては、既存の虐待リスク予防のアセスメントツール、および虐待死亡事例の検証報告のレビューを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究費の採択通知が夏であったことから、研究の開始時期が遅くなったことに加えて、実働を担う予定であった分担者が産育休に入ったことから、計画通りに進めることが困難となった。
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今後の研究の推進方策 |
目的1:産前からの縦断的データを用いたAIによる虐待リスクの一次スクリーニング(虐待リスク判定)の方法と課題を明確にするとともに、AIのモデル構築に向けた検討を行う。2024年度は、AIに投入するデータの特定とデータセット化の方法に関するインタビュー調査を次の対象に行う。(1)死亡検証最前線:厚生労働省 児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会、(2)現場支援最前線:児童相談所と市町村所管課の役職者(事例経験者を選定)、(3)政策意思決定最前線:厚生労働省虐待防止対策推進室とデジタル庁戦略組織グループ、(4)公衆衛生最前線:公衆衛生専門家(保健所長、自治体統括保健師等)。調査結果に基づいて、AIスクリーニングに用いるデータセット化と機会学習モデル構築に向けた検討を行う。また、帰結(虐待等リスク有無)判定後の縦断的データ:共同研究協定締結中のA市の産前からの母子保健入力データ等より、判定基準に用いるクラスタリングと階層化を検討する。 最終年度は、AI活用による産前からの縦断的児童虐待リスク判定に関する(1)(2)の報告書を作成し、国や都道府県、関連団体への提言を行う。(1)AI検証用プロトタイプの解説動画とそのコスト面や適用後継続する深層学習の実現可能性をまとめた報告書、(2)AIによる一次スクリーニング体制の全国普及のメリットと各種課題・解決策・自治体タイプ別推進方策の報告書。 目的2:AIによる一次スクリーニングの全国適用に向けた体制と実装の方法と課題を明確にするために、2024年度は、目的1の(2)(3)(4)を対象に、インタビュー調査を行う。調査結果に基づき、可能な全国展開の手順と、自治体に適用する際の方法を示す。最終年度は、AI活用による判定体制と実装に関するまとめと各所への提言を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究費の採択通知が夏であったことから、研究の開始時期が遅くなったことに加えて、主要な実働部分を担う予定であった分担者が産育休に入ったことから、計画通りに進めることが困難となった。1年目に予定していた調査ができず、次年度に行うことになり、関連予算について次年度に使用することとなった。
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