研究課題
外来がん薬物療法は複雑化し、患者家族にも多様なセルフケアが求められている。そこで、本研究の目的は、外来がん薬物療法実施前の高齢がん患者の聴覚の状態を可視化することにより、聴覚に配慮したコミュニケーションを患者-医療者が行うことで、安全な治療の遂行やセルフケアの理解が向上するのか検討することとした。令和5年度は、外来がん薬物療法を実施する高齢がん患者を対象にした実態調査を計画し、実施に向けて取り組んだ。具体的には、外来がん薬物療法中の高齢がん患者を対象に、①質問紙を用いた聴覚の自己評価および簡易的な聴覚検査により聴覚障害の実態を把握すること、②聴覚に関連した医療者とのコミュニケーション上の困難とセルフケアの理解度の違いを自記式質問紙調査により評価することを計画した。はじめに文献検討を行い、聴覚の自己評価に用いる評価尺度を選定した。また、先行研究を参考に医療者とのコミュニケーションとセルフケアの理解に関する調査項目を確定し、質問紙調査の準備を進めた。並行して、聴覚の簡易測定について、測定機器の検討、調査施設との調整を行ったが、調査場所の確保等の問題が生じ、計画の再検討が必要になった。外来がん化学療法室の環境では聴覚測定を実施することは難しいと判断し、質問紙調査と聴覚測定は別に調査計画を立案することとした。質問紙調査においてはセルフケア指導の場の環境音を測定し、客観的指標を用いた実態把握の一助とする。質問紙調査は調査施設を増やして、予定症例数が確保できるよう5施設と交渉を行い、研究組織を構成した。質問紙調査に関して、倫理委員会に一括申請を済ませることができた。
3: やや遅れている
R5年度は、外来がん薬物療法実施前の高齢がん患者を対象とした、きこえによるセルフケア理解の質問紙調査ならびに、簡易的な聴覚検査を実施予定であったが、調査施設における聴覚測定に関する諸問題への対応に時間を要した。
調査施設を複数にして、質問紙調査期間の短縮を図る。聴覚測定については、別途方策を検討する。
令和5年度に予定していた調査が倫理委員会申請までとなっており、調査対象者への謝金や調査に関わる予算の執行ができていない。また、客観的な聴覚測定について検討しているため機器の購入が遅れている。外来がん薬物療法を受ける高齢がん患者の調査にかかる費用、聴覚測定機器の購入として、令和6年度に使用予定である。
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