研究課題/領域番号 |
23K18410
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
柳澤 利枝 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康領域, 主幹研究員 (70391167)
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研究分担者 |
鈴木 武博 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康領域, 主任研究員 (60425494)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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キーワード | 喘息 / 高齢者 / 腸内細菌叢 / 化学物質 |
研究実績の概要 |
2023年度は、マウスの肺組織、および気管支肺胞洗浄液(BALF)中の細菌由来DNAの抽出方法を検討し、得られたDNAについて16S rRNA領域(V4)の細菌叢解析を実施した。肺組織由来のDNAでは、Taxonomy解析の結果、Proteobacteria門の存在比が高かった点は既報と一致していたが、OTU数が極めて少なかったことから、さらなる検討が必要である。BALFについては、複数のキットを用いてDNA抽出を試みたが、ほぼ回収できなかった。次に、糞便移植(FMT)の手法を確立するため、抗生物質投与による腸内細菌の除去効果、及びFMTによる細菌の定着の確認を行った。老化促進モデルマウス(SAMP8)を4群に分け、1) 無処置群(NT)、2) 溶媒投与群(Vehicle)、3) 抗生物質処置群(ABX)、4) ABX処置後糞便移植する群(ABX+FMT)を設定した。4週齢のSAMP8(ABX、ABX+FMT群)に対して、ABX混合溶液(Ampicillin 1 g/L、Neomycin 1 g/L、Metronidazole 1 g/L、Vancomycin 0.5 g/L)を7日間飲水にて自由摂取させた(NT、Vehicle群は滅菌水)。FMTは、7週齢のSAMR1(正常老化マウス)より採取した糞便を10%Glycerol含PBS(-)に懸濁し、フィルターでろ過したろ液を遠心して得られた上清を、ABX処置の3日後より5日間連続で強制経口投与した(200μL/animal)。ABX処置前後、及び移植1週間後の糞便からDNAを抽出し、細菌叢解析を実施した。その結果、ABX群ではDNA量、OTU数の顕著な減少を認めた。ABX+FMT群ではDNAの収量が増加し、ABX群との間には多様性や細菌構成に大きな違いが認められ、ABXによる効果、FMT後の腸内細菌の定着が観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
肺組織、及びBALFからのDNA抽出やPCR条件に関しては、既報を参考に検討を進めたが、予想外に難航したため時間を要した。加えて、FMTの実験条件の設定にも多少時間を要したこと、他の研究課題との兼ね合いで開始時期が後ろにずれ込んだため、当初の計画よりやや遅れが生じた。肺組織からのDNA抽出に関しては、引き続き検討を行いつつ、化学物質曝露実験を開始する。FMTに関しては条件が確立できたため、本条件で実施することとする。
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今後の研究の推進方策 |
対象物質は有機フッ素化合物から選択し、化学物質曝露実験を開始する。曝露用量は、推定一日摂取量、および耐容一日摂取量を参考に設定し、経時的な肺・呼吸機能変化を測定することにより化学物質曝露の影響を検討する。影響が検出された場合は、FMTによる改善効果を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
DNA抽出やFMT等の実験条件の設定に時間を要したことにより、化学物質曝露実験が次年度にずれ込んだことから、実験動物代、動物飼料代等、次年度使用額が生じた。当該予算は、2024年に使用する予定である。加えて、情報収集を行うため、関連学会への参加費用として旅費等に充てる。
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