研究課題/領域番号 |
23K18420
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
石野 誠也 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (40812227)
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研究分担者 |
苅部 冬紀 北海道大学, 医学研究院, 助教 (60312279)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 動機 / 覚醒 |
研究実績の概要 |
ヒトが日々の営みにおいて高い目標を設定し、挑み続けるには、「期待外れ」が生じてもそれをそのまま受け入れて目標を諦めるのではなく、むしろ「悔しい」と感じそれを乗り越える意欲を高めることが必要である。この意欲が不足すると、挫折を味わった後の抑うつやひきこもりなどの問題に繋がる。報酬系の中心である中脳・腹側被蓋野(VTA)のドーパミン(DA)細胞は、従来、報酬価値に基づく意欲を担い、報酬の期待外れに対して行動を弱化すると考えられてきた。一方、研究代表者は世界に先駆けて、報酬の期待外れの際に活動が増加し期待外れを乗り越える行動を強化するVTAのDA細胞(新規DA細胞)を見出した。本研究では、VTAのDA細胞などの活動を計測すると同時に、さらに覚醒状態に応じてDA細胞などの活動を活性化させることで、困難を乗り越える意欲を高められるかどうかを検証することを目的とした。 本年度は、VTAのDA細胞などの活動を1細胞レベルでイメージングし計測するための光学系セットアップを完成させ、ウイルスベクターの選定や生体内で適切に発現させるための条件検討を進めた。また、活動計測と同時に1細胞レベルの刺激を行うための光学系セットアップの準備を開始した。今後、1細胞レベルの刺激を実現するため、条件検討を行う必要がある。 また新規DA細胞選択的な標識を目的として、VTAを含む脳スライスからのパッチクランプ法により、新規DA細胞と、従来型DA細胞の電気的な活動特性の違いについても検討を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
VTAのDA細胞の活動計測と活動操作を行うための光学系セットアップが完成し、ウイルスベクターの条件検討についても一定の成果を得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、VTAのDA細胞などの活動計測と同時に1細胞レベルで刺激する実験系のセットアップを進める。最終的には覚醒状態の違いに応じてラットの新規DA細胞などの活動を1細胞レベルで刺激することで、困難を乗り越える行動への影響を検討する。また、新規DA細胞を、将来的に選択的に標識するための脳スライスからのパッチクランプを用いた探索研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度途中に所属研究室の異動があり、実験を一時中断したことにより次年度使用額が生じた。予定していた神経活動計測と操作実験の統合と、新規DA細胞を選択的に標識するため技術開発を進める。
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