研究課題/領域番号 |
23K18437
|
研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
尾仲 達史 自治医科大学, 医学部, 教授 (90177254)
|
研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
|
キーワード | 運動 / 肥満 / 摂食 |
研究実績の概要 |
運動はヒトの寿命に大きく関与することが疫学的に示されている。運動することで不安が緩和されることも示唆されている。また、社会的な繋がりも、不安緩和と寿命延長と関連することが示唆されている。しかし、この運動、社会的繋がり、健康の3者の関わりの詳細については分かっていない。本研究は社会的繋がりを持って運動させることで肥満を防ぐ動物実験モデルを完成させ、自由摂食にも関わらず肥満を防ぐ機構を明らかにすることである。 適正な成分の食物をバランスよく摂取することは健康の維持に重要である。高甘味・脂肪食事の制限は肥満、糖尿病の進行を抑制する。しかし、高脂肪・高甘味・高塩分の食事は報酬系を刺激する効果が強力で、これらを目の前にして食事制限を遵守することは困難である。運動は肥満を防ぐことが知られているものの、運動によるエネルギー消費の増加はそれほど大きなものではない。従って、運動による体重減少は主に食欲を減少させ摂食量を減少させること、特に嗜好性食物の摂取を減少させたときに実現すると考えられる。一方、運動・摂食は視床下部オキシトシンニューロンを活性化させること、さらにオキシトシンは摂食を終了させ、高甘味食の摂取を抑制することが報告されている。 本研究は、まず、自由摂食下の条件で抗肥満効果を持つ自発運動させる環境を同定することを目指した。その結果、通常より高さがあり広いケージで群飼いすることで、通常ケージにおける群飼い、あるいは個飼いと比較検討して、肥満抑制をもたらされることが確認できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自由摂食、自発運動の状態で肥満しないモデル環境を構築することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
肥満を防止する広いケージという生活環境の改変により、個別の酸素消費量、摂取量を測定する。さらに、視床下部オキシトシンニューロンの活動がどう変化するのかを検討する。あるいは、この視床下部ニューロンが抗肥満作用を持っていたのかを検討する目的でオキシトシン受容体欠損動物を利用した実験、あるいは、オキシトシン受容体発現ニューロンの活動操作実験により明らかにする予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
購入予定であった動物を一部自家繁殖させた動物を使用したため次年度使用することができ、2024年度に測定するエネルギー代謝測定のための費用に使用する。
|