研究課題/領域番号 |
23K18441
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
古江 秀昌 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20304884)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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キーワード | 前帯状回 / 情動 / 機能回復 / 運動ニューロン |
研究実績の概要 |
脳神経や神経回路を人為的に活動操作する動物を薬理遺伝学や化学遺伝学を用いて作出し、その神経機構の詳細を解析した。まず、脳部位として前脳部、特に情動に関与する辺縁系の1つである前帯状回に着目した。ウイルスベクターを用い、錐体ニューロン特異的にDREADDs(Gi)を発現させるウイルスベクターを作成し、発現する蛍光タンパクを指標にDREADDsの発現部位を確認・同定した。注入量やタイタなど条件検討を行い、両側にベクターを注入すると約1ヶ月後に、前帯状回皮質全体に、ある程度限局した蛍光タンパク質の発現が観察できた。次いで、前帯状回を含む脳切片を作成し、パッチクランプ法により神経活動が操作できるか検討した。蛍光を発する細胞、錐体ニューロンから記録を行うと、錐体ニューロン特有の発火特性が観察された。次いで、これらのニューロンに人工リガンドであるCNOを投与すると、電位固定下で緩徐な外向き電流が発生した。電流固定下で膜電位変化を記録すると、CNO投与により緩徐な過分極応答が発生した。記録電極より脱分極性の電流を注入して活動電位を発火させ、CNOを投与すると発火頻度を十分に抑制し得ることが示された。また、高架式十字迷路やオープンフィールドなどの行動解析に着手し、不安行動の指標としてオープンアームでの滞在時間やフィールド上の軌跡から移動距離を定量解析した。これらの行動観察に加え疼痛行動評価を行うなど行動解析実験の準備を進めた。前角ニューロンからの記録を行うための動物としてCreマウスの系統維持も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳における活動操作法を確立し、脊髄からの記録法や行動の準備が進むなど研究は順調に進捗した。
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今後の研究の推進方策 |
今年の成果を元に脳の神経活動操作として興奮性の活動操作法を更に確立し、その神経機構の詳細を解析する。また、運動ニューロンの機能評価法の開発や行動実験を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
人為的活動操作法の確立が想定していた計画より速く進み、計上していた予算(物品費など)の一部を使用しなかった。一方で今年度の予備的検討から、脊髄からの新規記録法の開発に想定以上に更なる実験数が必要と見込まれることから、次年度以降に物品費として支出予定である。
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