研究課題/領域番号 |
23K18495
|
研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
田向 権 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 教授 (90432955)
|
研究分担者 |
田中 啓文 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 教授 (90373191)
|
研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
|
キーワード | マテリアルリザバー / レザバーコンピューティング / ホームサービスロボット / FPGA / マテリアル指向情報処理 / 材料 / 情報 / 半導体 |
研究実績の概要 |
本研究は,ナノ材料によるマテリアルリザバーについてその動作原理を解明,超低消費電力情報処理デバイス構築,知的処理応用を通して,マテリアル指向情報処理という新しい体系構築を狙うものである. 材料グループ(田中G)とのコラボでは,材料グループで開発したカーボンナノチューブ-ポリジメチルシロキサン(CNT-PDMS)ナノ複合体センサをロボットの触覚へと応用した.CNT-PDMSセンサは空乏構造を有する柔らかさが特徴で,これを3次元構造化することで立体的なスポンジ型に形成できる.これに圧力がかかるとCNTがランダムに接続し,導電パスが形成される.これにより,ロボットハンドの内側にCNT-PDMSセンサを張り付けてオブジェクトを把持することで様々な時系列信号を得ることができる.これをリザバーコンピューティングに見立てた物理レザバーとして考え,線形回帰による分類を付与することで,把持物体の認識が可能であることが分かった. また,マテリアルリザバーの動作原理の解明に向けて,ナノマテリアルのランダムネットワークを模擬するシミュレータの構築に着手した.まったくノウハウが無い分野であるため,田中Gの支援を受けて,当該分野にて国際的な情報収集を行った.これを基に,来年度以降,本格的なシミュレータ構築へと着手する.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究はおおむね順調に進展している.材料グループ,応用グループ共に計画通りの進捗である.また,我々にとって新規分野である材料シミュレータについても順調に調査が進んでおり,来年度以降,本格的な研究開発へ着手できる状況である.
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き,材料,回路,応用の3本柱での研究開発を進める.これらが一体となることで,真に有用なマテリアル指向情報処理の実現につながると考えている.今後は特に,ナノマテリアルのシミュレータ開発が重要であると考えており,材料面はもちろん,回路や応用面からも理論的考察を進めていきたい.
|
次年度使用額が生じた理由 |
旅費,人件費に大きな残が生じたが,これは萌芽的な研究立ち上げ期のために,予想以上に海外発表案件や補佐業務が出てこなかったためである.双方ともに,研究の成果が出始める次年度に有効活用する.
|