研究課題/領域番号 |
23K18508
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山本 豪志朗 京都大学, 医学研究科, 准教授 (70571446)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | コンピュータビジョン / 手術室 |
研究実績の概要 |
当該年度は,手術室空間にて役割を持った医療者を対象として,手術室監視映像を分析することで,手術過程における種々の事象をあぶり出す方法を考案し,その評価を行った.映像分析のフローは計画書の通り,主に 1) ポーズ推定,2) トラッキング,3) Person Model の生成,4) Group Model の生成,5) 状況認識の五つの手順とした.これまで,実際の手術室にて,看護師監修のもと模擬的に特徴的な動作を行った記録映像を作成し,動作モデル(Person model,Group model)の生成・改良を行ってきた.この生成した動作モデルに基づいて,実際の手術室録画映像(京都大学医学部附属病院の所有する記録映像,主に過去6ヶ月間)から特徴的な動作を抽出した.特徴的な動作を動画の中から抽出する本技術によって,長時間にわたる手術動画をより効果的な利用価値を高めることができた.加えて,インシデント検知につながるために,手術室内での各医療者の動きから,その動きの異常を検知をする技術開発も並行して行った.敵対的生成ネットワークを活用し,医療者の正常とみなせる動作を推定し,実際の動作との差を観察することで,その異常性を測る仕組みとした.別の取り組みとして,手術室空間の医療者がどの役割であるかを判別する仕組みを構築している.また,手術室空間の監視を機械的に行うことで,自動麻酔技術の開発にも繋げられると考え,監視映像から各医療者の動きと麻酔の関係性を調査し,判断基準となる状況を画像から抽出する仕組み作りを試みた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画した内容を順調に進められている.それに加えて,発展的内容も同時に進められている.
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今後の研究の推進方策 |
現在取り組んでいる手術過程における種々の事象のあぶり出しを継続的に推進する.それに加え,医療において価値ある記録として自動化する仕組みの検討,利用者に利用価値のある情報として還元していくための可視化といった応用的取り組みに展開していく予定である.これらの取り組みを通して,空間に存在する複数人の知的活動が織りなす潜在的な情報を他で利用可能な形で顕在化する方法論についてまとめていく.同時に,「気の利く手術室」の実現を目指して,研究の更なる発展方向について検討を重ねていく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
国際会議を含めた学会発表を計画していたが,年度中にその段階に至ることができなかった.年度中に投稿は終えており,学会発表に向けて次年度内で旅費等の経費として使用していく予定である.計画時の翌年度分に関しては,計画通り,年度内の学会発表に関わる旅費に加えて,論文投稿料やより多くのデータを処理してくためにデータの前処理作業・補助の謝金として使用していく計画である.
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