研究課題/領域番号 |
23K18517
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
楊 偉 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 助教 (80725044)
|
研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
|
キーワード | 植生フェノロジー / 樹種 / 小型衛星群 / リモートセンシング / 現地観測 |
研究実績の概要 |
1). 衛星データ・現地観測データの収集と解析。今年度は、小型衛星群データであるPlanetScopeの収集と前処理が広域的に開始された。入手した衛星画像の切り出しとモザイクを実施し、植生指標(NDGI)の時系列が作成された。一方、3つの森林サイトの樹種の分布に関する情報は、現地調査によって入手した。同時に、いくつかの樹種の分布サンプルに関する情報は、文献調査や一般に公開されているデータベースを通じて収集した。また、日本の植生季節観測網(PEN)のRGB写真を収集し、展葉開始日や落葉開始日などのフェロノジーメトリクスを抽出し、衛星推定アルゴリズムの開発と検証に使用している。
2). PENカメラと衛星観測の位置ずれが植生フェロノジーの推定に及ぼす影響の解明。PENの下向きカメラを用いて、観測位置のずれによる植生フェロノジー推定の誤差を定量的に評価した。計算の結果、下向きカメラは中心位置をより正確に測定できるものの、有効観測範囲はプラットフォームの高さによって50mから300mまで変化し、MODISのような衛星データの分解能(500m~)よりもはるかに小さいことがわかった。一方、3mの空間分解能を持つPlanetScopeデータは、PENカメラの観測範囲を十分に考慮することを通じて、フェロノジーの推定結果はPENカメラの観測値との整合性を大幅に改善することができた。
3). 衛星観測によるGrasslineのマッピング手法の開発。チベット高原を例にとり、多ソースリモートセンシングデータによるGrasslineを自動的に抽出する手法を開発した。PlanetScope画像を用いてGrasslineの検証を行った結果、高い精度が示された。チベット高原全体では、Grasslineの標高は4038~5380mで、北東部と南東部では低く、南西部では高いとわかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、現地観測、文献調査や国内外の植生フェノロジーデータベース及び樹種情報の採集が行われた。また、以上のデータセットとPlanetScope画像の解析結果により、学術会議や研究論文で発表した。これから、より一層の解析を実施し、学術論文としてまとめ、専門誌に投稿する。
|
今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、現地調査や文献調査により検証データベースの構築を実施する。そして、機械学習や深層学習のアルゴリズムを活用し、衛星画像による樹種を区別し、樹種レベルでのフェノロジー推定精度を更に向上することを試みる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
生じた理由:今年度で得られた研究成果を来年度に学術論文として発表する予定であるため。
使用計画:次年度使用予定額は、英文校閲料と論文掲載料として支払う予定。
|
備考 |
千葉大学環境リモートセンシング研究センター楊研究室ホームページ https://yangweiphd.weebly.com/
|