研究課題/領域番号 |
23K18528
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
鈴木 芳代 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 量子バイオ基盤研究部, 上席研究員 (10507437)
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研究分担者 |
舟山 知夫 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 量子バイオ基盤研究部, 上席研究員 (40354956)
五十嵐 龍治 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学研究所, チームリーダー (90649047)
神長 輝一 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学研究所, 研究員 (90825176)
柳 瑶美 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学研究所, 博士研究員 (90911280)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | マイクロビーム / 量子センシング / ラジカル / 線虫 |
研究実績の概要 |
放射線の生体作用の7割を占める間接作用には、照射で生成するOHラジカル等の活性酸素種(ROS)が関与しているが、照射後の細胞内に生じDNAに損傷を生成することで細胞にダメージを及ぼすラジカルを直接検出する技術は存在せず、その存在は理論的に、又は間接的計測により証明されてきた。そこで、本研究では、「生きた動物個体への重イオンマイクロビームピンポイント照射」と「蛍光ナノダイヤモンドを用いた量子センシング」という二つの独自技術を有機的に組み合わせ、細胞レベルでのラジカル応答計測を実現し線虫の放射線応答メカニズムを明らかにすることを目的とした。 令和5年度は、重イオンマイクロビーム照射装置専用量子センシングデバイスの設計と細胞への量子センサー(蛍光ナノダイヤモンド)の導入条件の検討を並行して進めた。 舟山、神長、五十嵐を中心に、線虫の中枢神経系に重イオンマイクロビームを照射し、照射由来ラジカルを直接計測することで局所放射線応答を捉えるための計測系の仕様を検討した。特に、多くの機器が取り付けられた重イオンマイクロビーム照射装置の限られたスペースに設置し、制約の多い照射室の条件下で通常の量子センシング同等の計測精度を担保するシステムとするために、最適な方法、デバイス構成を入念に検討した。 一方、鈴木と柳は、線虫の特定の細胞に安定して量子センサーを留置するため、種々の条件で細胞に量子センサーを導入し、当該細胞のバイアビリティの確認を行った。 上記に加え、学会や研究会等にて、本研究の取組みや成果を発表/紹介するとともに、量子センシング技術や生体放射線応答解析、線虫実験技術に関する情報収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおり、着実に研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、量子センサーを導入した線虫個体に重イオンマイクロビームを照射し、当該細胞のタイムラプス量子センシングを行う計画である。具体的には、重イオンマイクロビーム照射装置専用に開発した量子センシングデバイスを用いて、重イオン照射直後から細胞内温度やラジカル量を継時的に計測することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品購入費用及び旅費が当初予定よりも低く抑えられたため、次年度(令和6年度)使用額が生じた。当該繰越し額は、研究成果の発表費(学会参加費、英文校正費、論文掲載費等)に充てる計画である。
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