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2024 年度 実施状況報告書

鳴声を用いてニホンザルの群れのサイズと属性を効率的に評価し保護管理に生かす

研究課題

研究課題/領域番号 23K18533
研究機関山形大学

研究代表者

江成 広斗  山形大学, 農学部, 教授 (90584128)

研究期間 (年度) 2023-06-30 – 2026-03-31
キーワードニホンザル / ボイストラップ / 加害度 / 鳴声 / 生物音響 / モニタリング
研究実績の概要

大型箱罠や囲い罠の普及に伴い、地域の生活・生業に対して深刻な被害をもたらしうるニホンザルの捕獲圧は高まり続けている。その一方で、直接観察やVHF/GPS首輪等の活用といった、高度な技術やコストが必要とされる手法以外に、本種個体群を効率的にモニタリングする手法は開発されてきていない。そこで本研究では、筆者がニホンジカを対象に開発してきたボイストラップ法(英語名;passive acoustic monitoring)をニホンザルにも適応することで、省コスト化を目指している。
令和5年度までの研究で、ニホンザルを対象としたボイストラップ法の有効性を確認し、鳴声頻度とその連続性のみから明らかにできる、集落に対する群れの襲来頻度と滞在時間の2つの指標から、群れがもつ加害性(環境省が定める加害レベル)を概ね判定できることを明らかにした。そこで、令和6年度において、鳴声頻度だけでなく、鳴声種とその発声様式から加害性評価を試みるために、これまで対象としてきた朝日山系や白神山地に分布する群れだけでなく、会津高原に位置する群れも対象に、生物音響レコーダを集落近隣に設置し、ボイストラップ法を実施した。会津高原には、すでにGPS首輪の装着によって識別された群れ(群れサイズや加害度も評価済み)が広く分布しているため、当該評価には最適と考えられたためである。今後、得られた音響データを統合的に評価することで、鳴声種とその発声様式からの加害性評価の高度化を目指す。

現在までの達成度
現在までの達成度

2: おおむね順調に進展している

理由

南会津町(主に田島地区)において、加害レベルや群れサイズ(群れを構成する頭数)が異なる8つの群れが連続的に分布し、すでに行政事業としてGPS首輪が装着されている。そこで、当該地域において、各群れのコアエリアと重なる集落近隣に生物音響レコーダを設置し、音響データを連続的に収集し、機械学習を用いて鳴声各種の抽出を行った。鳴声発声様式を、GPS首輪から入手される群れの位置情報から明らかにできる集落への接近頻度と滞在時間と組み合わせて解析する作業を行った。
あわせて、音響データを蓄積している白神山地において、サル群れにGPS首輪を新規に装着し、群れ識別と属性評価を進める作業も進めた。
また、朝日山系・白神山地において過年度に収集した音響データから、生態音響(外部の人工音や、風雨に伴う自然音)の抽出を行い、鳴声発声様式との関係性を多角的に検証した。

今後の研究の推進方策

朝日山系、白神山地、南会津の3地区で入手したニホンザルの生物音響データ、生態音響(ニホンザルの発声様式に影響する可能性のある、人の存在を意味する人工音)、群れの加害性・サイズ・生息地利用とを統合的に解析することで、「鳴声」という指標のみで、群れの属性をどの程度評価できるかを多角的に検証していく。また、この成果をもとに論文を執筆するに際して、他種の発声様式に関しても網羅的にレビューを行うために、国際学会等の場を活用し、類似課題を扱う海外の研究者との情報交換も積極的に進めていく。

次年度使用額が生じた理由

南会津地域における音響レコーダの設置作業は、現場の関係者に依頼することで大幅に旅費を削減することができた。この費用については、関連分野の体系的レビューに向けた海外研究者との情報交換を目的に、令和7年度に開催される国際学会への参加費用にあてる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2025

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 「縮む社会」で求められる野生動物管理:研究と現場のギャップを埋めるために2025

    • 著者名/発表者名
      江成広斗
    • 学会等名
      日本生態学会

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公開日: 2025-12-26  

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