研究実績の概要 |
環境省が定める微小粒子状物質自動測定機のひとつ,β線吸収法自動測定機(以下BAM,紀本電子工業製PM-712)の分級部をPM0.1の分級が可能な「慣性フィルタ」に置き換えた試作機の設計・試作・性能検証を実施するが,現時点で想定している課題がふたつある。ひとつは,PM0.1の濃度がPM2.5より1桁低いことから,流量やテープろ紙上の捕集エリア,検出部の条件を工夫して検出感度を上げる必要があること。もうひとつは,PM0.1を分級する慣性フィルタで一般的なPM2.5分級装置(インパクタなど)より1桁高い圧力損失を持つため,慣性フィルタの最適化と,検出装置の耐圧条件の変更が求められることである。 第1段階の検討として検出部流量を標準的な16.7L/minから40L/min程度まで増加し,それに合わせた慣性フィルタを試作して組み合わせる。今年度はこの基礎的な実験を実施し,改造なしのBAMが想定する圧力損失の範囲でPM0.1の分離が実現できないことを確認した。したがって,BAMのメーカー側での改造と試験が必須である。この事実を紀本電子工業と共有し,改造内容と改造計画に関する3回の打ち合わせを実施した。最終的に,希望する検出装置の耐圧条件の変更に対応する改造に当初予定より長い時間が必要になり,令和6年度に引き続き検討を続けることとした。これに伴い,令和6年3月の納品前後に執行する予定だった関連消耗品と研究補助の謝金,打ち合わせの旅費を一部繰越した。
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