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2023 年度 実施状況報告書

夜間の飛翔動物相と空域ニッチの利用状況の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K18545
研究機関徳島大学

研究代表者

河口 洋一  徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (20391617)

研究分担者 三輪 昌史  徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (40283957)
研究期間 (年度) 2023-06-30 – 2026-03-31
キーワード飛翔動物 / 夜間 / 高空域 / 船舶レーダー / ドローン / 空域ニッチ / 環境影響評価 / モニタリング手法
研究実績の概要

本研究は、目視が困難である夜間の、高度の高い空域(高空域)における飛翔動物相の解明を目指し、船舶レーダーによる広域観測と、音声録音装置および高感度サーモカメラを搭載したドローン調査により、高高度帯の飛翔状況を明らかにすることを目的としている。
本研究では、高高度行帯の空域において、鳥類・コウモリ類の分類群を高精度に判別する上でノイズとなる環境音を最小限に抑制し、高音質な音声データを取得する必要がある。特に、ドローンの稼働音は録音を阻害する要因となるため、録音機をドローン本体から遠ざけることが有効だが、その間隔が離れるほど飛行の安全を確保することは困難となる。そこで、ドローンと録音機の最適な間隔を決定する予備実験を実施した。実験では、2台の録音機(鳥用とコウモリ用)を1.5mm径のワイヤーでドローンに吊るして上空にホバリングさせ、地上に設置した音源から鳥類およびコウモリ類の音声を再生することで録音機による検出状況を確認した。ワイヤー長は1m、10m、15mの3パターンとし、地上の音源から録音機までの距離は10mと20mのそれぞれについて実験を行った。その結果、ワイヤー長15m、録音距離10mの場合において、種判別に適用可能な音質のコウモリ音声データを記録することができた。一方、鳥類用録音機では、防音材を併用してもドローン稼働音による干渉が著しく、マイクロフォンの指向性を高いものへと改善する必要性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度は、本実験のための予備実験を繰り返し実施しており、本調査のための課題を一つずつ明らかにし、その課題解決を進めている。ドローンで飛翔動物を調べる録音機を吊り下げ、ドローンからどの程度の距離をとれば記録できるか、マイクシステムの改良を繰り返し行っており、概ね順調に研究は進展している。

今後の研究の推進方策

R5年度に実施した飛行実験の結果を踏まえ、鳥類用の録音機を指向性の高い機種へ変更したところ、30m離れた音源からの可聴域音声を検出できることが明らかとなりつつある。また、コウモリ類の音声録音では、ドローンから発せられる信号音(コウモリ類の発する音声周波数帯に重なる)の干渉を軽減し、マイクを保護する最適な防音構造の開発も進めている。これまでのワイヤーを用いた実験では、高度が高いほど風の影響を受けやすく、ドローンへの荷重負荷によりバッテリーの持続時間が短時間に限られる状況にあった。これについても軽量化を図る手法が確立できており、従来よりも長時間の飛行が可能となる見込みである。
船舶レーダーを用いた観測については、R5年度に設置方法とモニター表示される物標色を最適化したことにより、信号強度の弱い小型の飛翔動物についても移動軌跡として捕捉可能な手法を確立した。また、野外検証を通じて鳥類・コウモリ類の観測可能距離についても明らかにしていることから、ドローンとの同時調査に向けた準備が整ってきている。
本年度は、春から初夏にかけて高空域での安定したドローン調査を可能とする手法確立を進め、夏から秋にかけて徳島県を中心にレーダーとドローンを併用した夜間の高空域調査を複数回実施する計画である。

次年度使用額が生じた理由

理由:予備実験を行う中で、本調査を安全に行うためドローンの機種変更を行い、それに伴う許可申請の変更手続きに時間を要したため、機種をかえての予備実験を次年度に実施することになり、ドローンの消耗品費や野外調査にかかる費用について次年度使用額が生じた。
使用計画:機種変更した後のドローンによる実験に要する消耗品費と、実験のための野外調査費をあわせて使用する予定である。

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公開日: 2024-12-25  

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