研究課題/領域番号 |
23K18578
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
高橋 章 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (90304047)
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研究分担者 |
上番増 喬 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (10581829)
原口 雅宣 徳島大学, ポストLEDフォトニクス研究所, 教授 (20198906)
馬渡 一諭 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 講師 (40352372)
岡本 敏弘 徳島大学, ポストLEDフォトニクス研究所, 准教授 (60274263)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 殺菌 / 光 / 非伝搬性 |
研究実績の概要 |
近年、感染症が社会問題となっている。これらの病原性微生物は、不特定多数の人々が接触・使用するタッチパネルやスイッチなどに付着し人に感染症を引き起こす可能性が指摘されている。環境意識の高まりや薬剤による弊害等から、紫外線(UV)殺菌法が注目されている。UVは波長により3種類に分類されているが、殺菌には主にUVCが用いられており、残留物がないことや耐性菌を作りにくいことなどの利点がある。一方人に対しては癌化作用があり、周囲環境に対しては物質の劣化を引き起こすなど問題点があり、使用が制限されている。 本研究では、①UVAの使用により人等に対する副作用を低減させる。②プラズモン共鳴とエバネッセント光による非伝搬性の光を使用することで、光を目的の場所のみに集積・局在させ周囲に拡散させない、環境や人にやさしい新規殺菌システムを研究開発することを目的とした。 本年度は、UVA-LED光源を主に使用し、微生物に対する光感受性を検討したうえで、入射光の構成成分や光照射の周波数を確定した。さらに発光デバイスからの照射距離、放射束の決定を行った。 次に、金属ナノ粒子の形状を組み合わせ、さらに入射する光の波長を最適化することにより、より強いプラズモン共鳴を引き起こし、殺菌効果を高めることが期待できることから、シュミレーショにより、実現可能で高効率の、金属ナノ粒子を表面に配置したガラス(または石英)構造体を考案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の実験計画に従い下記の検討を行った。 (A)近紫外線(UVA)を中心に用いた“ハイブリッド”による人に安全で環境にも優しい殺菌法 本研究では、従来殺菌に使用されてこなかったUVAを使用した。UVAは殺菌効果が弱く強い照度のUVAを得ることが難しいといわれていたが、近年開発が進んでいる発光ダイオード(LED)を使用することで、狭い波長幅(ナローバンド)のUVAを安価に効率よく照射できると考えた。さらに、ナローバンドの異なる波長(異なる機能)の紫外線を組み合わせた殺菌に特化した“ハイブリッド光”を使用することを検討した。そこで、UVA-LED光源を主に使用し、微生物にたいする光感受性を検討したうえで、入射光の構成成分や光照射の周波数を確定した。さらに、発光デバイスからの照射距離、放射束の決定を行った。 (B)プラズモン共鳴による拡散しない光をもちいた殺菌効果の増強と殺菌範囲の制御 金属ナノ粒子の形状を組み合わせ、さらに入射する光の波長を最適化することにより、より強いプラズモン共鳴を引き起こし、殺菌効果を高めることが考えられた。そこで、シュミレーショにより、実現可能で高効率の、金属ナノ粒子を表面に配置したガラス構造体を考案した。 以上より研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
シュミレーショにより考案した、実現可能で高効率の金属ナノ粒子を表面に配置したガラス(または石英)構造体を実際に作成する。さらに、作成した構造体をもちいて、殺菌効果の変化を検討する。 また光をどのように金属ナノ粒子を含む構造体に入射するかは重要な課題である。そこで、光路及びガラス面内部で光が全反射する構造を検討した上で改良を行う。エバネッセント光とは、境界面で全反射が起こる時、入射光側の反対側に光が染み出した光であり、距離に対して指数関数的に減衰する非伝搬光の一つである。そこで、実際に作成した金属ナノ粒子を含む構造体に全反射を引き起こす角度で照射し、殺菌効果を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実際の構造体作成の備えて筑波にある国立研究開発法人産業技術総合研究所に出張して相談しながら研究開発を進める必要があると計画していた。しかし出張せずに、メール等の連絡や相談により研究を進めることができたため費用が削減され、次年度使用額が生じた。2024年度には、実際に国立研究開発法人産業技術総合研究所にある装置を使用しながら、属ナノ粒子を表面に配置したガラス(または石英)構造体を作製する必要があり、このための費用として翌年度分の研究費と合わせて使用する予定である。
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