研究課題/領域番号 |
23K18595
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
草森 浩輔 東京理科大学, 薬学部生命創薬科学科, 准教授 (90707407)
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研究分担者 |
小林 正樹 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 講師 (30795612)
西川 元也 東京理科大学, 薬学部薬学科, 教授 (40273437)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | ミトコンドリア移植治療 / iPS細胞 / 間葉系幹細胞 / 体内動態 / 機能評価 |
研究実績の概要 |
本研究は、患者に対して安全に移植可能なミトコンドリアの起源として自己細胞から調製可能なヒトiPS細胞を選択し、ヒトiPS細胞由来ミトコンドリアの機能および特性を評価するとともに、ヒトiPS細胞由来ミトコンドリアの疾患治療における有用性を実証しようとするものである。2023年度は、マウス間葉系幹細胞株C3H10T1/2細胞、ヒト肝臓がん細胞株HepG2細胞、ヒト胎児腎細胞株HEK293、Primed型iPS細胞、iPS細胞由来間葉系前駆細胞からミトコンドリアを回収し、その粒子径やATP活性、タンパク質量あたりの回収量について評価した。その結果、粒子径はいずれの細胞においてもほぼ同等である一方、回収量は細胞によって大きく異なることが明らかになった。また、ATP活性も細胞によって異なり、ミトコンドリアが未熟とされるPrimed型iPS細胞ではATP活性はほとんど検出されなかった。現在、iPS細胞由来ミトコンドリアの応用可能性を検証するために、Naive型ヒトiPS細胞の機能評価を実施している。また、各種細胞由来のミトコンドリアを蛍光色素で染色し、マウスの静脈内に投与したところ、その体内動態は由来となる細胞種によって大きく異なることを見出した。一部のミトコンドリアは肺に多く分布するのに対し、他のミトコンドリアは肝臓や脾臓に多くん分布した。現在、各種細胞由来ミトコンドリアの体内動態および体内動態規定因子を詳細に解析している段階にある。本研究に関わる成果は、第39回日本DDS学会学術集会などの複数の学会において発表し、関係する内容の一部をStem Cell Research & Therapy誌に公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度に目標としていた各種細胞由来ミトコンドリアの機能および体内動態に関する評価は完了しており、由来となる細胞によってミトコンドリア特性が異なることを実証した。これらの結果から、進捗状況はおおむね順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、ヒトiPS細胞由来ミトコンドリアの細胞取り込みおよび機能評価を目的として、ミトコンドリア選択的にmCherry等のレポータータンパク質が分布するヒトiPS細胞由来ミトコンドリアを、各種細胞に添加し、その取り込みを評価する。さらに、2023年度に引き続き、細胞内へのミトコンドリア導入による細胞増殖性への影響や抗酸化作用についても評価する。また、Naive型ヒトiPS細胞由来ミトコンドリアについても評価する。次に、ヒトiPS細胞由来ミトコンドリアの体内動態および治療効果について評価する。体内動態評価については、ミトコンドリア選択的にルシフェラーゼが分布する各種細胞を樹立し、in vivoイメージングまたは発光強度を指標に、マウス静脈内に投与後のミトコンドリアの血中濃度推移および臓器分布を評価する。また、ミトコンドリアの治療効果を評価するために、これまでに治療効果が報告されている心筋虚血モデルマウスまたは薬剤誘発性肝障害モデルマウスにおける治療効果について評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
共同研究者の小林博士が、本研究に関連する学会参加のための旅費に使用する予定であったが、公務のため参加できなくなり、旅費を使用することができなかった。2024年度の学会参加のために使用する予定である。
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