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2024年度の研究では第一に、前年度に高精細写真撮影を行った冊子「実在及道徳論」の内容の調査を行った。他のバージョンとの比較作業は年度末までに終わらなかった部分もあるが、冊子への書き込みの調査はすべて終了した。書き込みからは、西田が1907年の講義中に学生に向けて語っていた内容が、その後の『善の研究』の刊行時に本文に採用されるなど、『善の研究』の成立過程を探る手掛かりが見いだされた。 第二に、高岡市中央図書館に所蔵されている「第四高等学校教授西田幾多郎述倫理学講義録大橋八郎筆耕」について調査をし、高精細撮影を行った。この資料は西田幾多郎の四高倫理講義を受講した大橋八郎が作成したとみられるノートである。『善の研究』「第三編 善」も四高で1906年9月から開始した倫理講義と考えられるが、大橋ノートはその前年のノートと見られる。1905年講義については、西田自身の直筆講義ノートが存在し、「倫理学草案 第二」と呼ばれている。調査の結果、大橋ノートには「倫理学草案 第二」とは異なる内容が含まれ、西田が複数のノートを用いて実際の講義を行なっていたことなどが推察される。 第三に、これまでの資料調査をもとに、西田の自由論の再構成を行うとともに、その現代的に意味、とりわけ医療現場での応用について考察し、その成果の一部をパネル「日本の文化伝統を「医学哲学」に導入する試み-21 世紀の医療倫理の新たな枠組みの構築のために-」内の報告「西田『善の研究』における必然的自由論の東洋的側面と医療倫理への適用可能性」(第43回日本医学哲学・倫理学会大会、2024年11月3日)として発表した。 第四に、これまでの資料調査を踏まえ、西田の新資料研究の現状についてまとめ、「西田幾多郎新資料研究の現在」(「西田幾多郎没後八十周年記念シンポジウム」京都大学、2025年1月25日)として報告した。
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