研究課題/領域番号 |
23K18682
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
山吉 頌平 早稲田大学, 文学学術院, 助手 (50979052)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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キーワード | 立山信仰 / 寺社縁起 / 立山縁起 / 山岳信仰 |
研究実績の概要 |
本年度は北陸各地において立山縁起の伝本調査に注力し、撮影や紙焼き資料の複写を行った。金沢市立玉川図書館では、『竹園雑記』所収の未翻刻岩峅寺系縁起の調査を行い、目下翻字を進めている。富山県[立山博物館]においても、館所蔵の岩峅寺系統の縁起の写本や影印などを閲覧・調査し、翻字を進めている。 また、岩峅寺縁起の教説の把握及び典拠の考察のため、縁起への白山信仰の影響の研究を進め、関連する泰澄伝の研究を進めた。令和6年1月12日に開催された「仏シンポジウム「病とその表象」(スーパーグローバル大学創成支援事業 早稲田大学国際日本学拠点)では、「Exploiting the Epidemic: the Spread of Smallpox in the Nara Period Described in the Anecdotes of Priest Taicho」と題し発表を行ったほか、共催行事として国際シンポジウム「東アジアの文芸における正統観」(早稲田大学総合人文科学研究センター「グローバル化社会における多元文化学の構築」部門)を開催し、「『白山大鏡』に見える泰澄の正統性」と題した発表を行った。 また、北京大学にて開催された「第4回中日古典学ワークショッププログラム」において「謡曲「善知鳥」と『太平広記』-「片袖幽霊譚」の源流をめぐって-」と題した発表を行い、立山を題材とする能の典拠に関する考察を行うことで、不明点が多い中世立山縁起研究考究のための基礎的な基盤の構築を進展させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地調査から、閲覧可能な縁起類はほぼ網羅的に確認し、新出史料も発掘できた。岩峅寺の根本縁起であった『立山大縁起』の解読も進み、出典考証においても新たな知見を得ている。資料集に掲載予定の英文解説部門作成補助のための英語母語者である研究協力者も確保し、2年次の成果報告集作成に向けて着実に進展しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
系統をめぐる論文を執筆するとともに、正確な本文を広く研究者に提供するため、縁起の翻字を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
立山博物館での調査は、何度も往復を重ねつつ、史料を調査する予定であったが、学芸員の方のご厚意から、諸関係先に許可を得た上で所蔵史料の影印の複写などを一括で頂戴し、長期滞在や複数の訪問が不要となった。結果として節約された経費は、新出史料調査のための石川県・福井県・岐阜県(山間部)訪問及び現地滞在費に活用する予定である。
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