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2023 年度 実施状況報告書

排除されゆく市民たち:15世紀フリブールにおける女性、ユダヤ人、聖職者

研究課題

研究課題/領域番号 23K18718
研究機関金城学院大学

研究代表者

神谷 貴子  金城学院大学, 文学部, 講師 (30980833)

研究期間 (年度) 2023-08-31 – 2025-03-31
キーワードスイス / 都市 / 中近世 / 女性 / ユダヤ人 / 聖職者
研究実績の概要

本研究の目的は、西スイスの都市フリブールを事例として、15世紀における市民の閉鎖化の諸相を明らかにすることである。具体的には、フリブールの市民登録簿を分析し、15世紀における市民の中の女性、ユダヤ人、聖職者らの規模や特徴などを明らかにしていく。本年度は、主史料である市民登録簿Ⅱ(未刊行史料)を活字化・データ化し分析を進めた。いずれの層についてもデータ化まで完了した。
市民登録簿の分析によって、これらの人びとの市民加入は15世紀に転換期を迎えたことが判明した。また、それぞれの層がまったく異なる形で市民の枠から外れていくことも明らかになった。一見すると単なる市民のリストのように思われる市民登録簿であるが、この史料のなかには、女性やユダヤ人、聖職者らが政治的・経済的抑制によってではなく、それぞれの社会的な立場が変化することで市民のあいだからこぼれ落ちていったことが映し出されていた。
この研究成果をふまえて、2024年5月に行われる西洋史学会で研究報告を行う予定である。また、同年7月、スイス史研究会においても研究成果を発表する。その後、本研究の成果を日本語とドイツ語で論文にまとめる作業に入る。
主な史料の分析はおおむね完了しているが、研究の比較対象となる他都市の状況については、なお現地の未刊行史料群を精査する必要がある。この点については、次年度、現地で史料調査を行い、専門家らと協力しながら作業を進めていきたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、本研究の主史料である市民登録簿の活字化・データ化の作業を完了した。また、学会報告の準備を行い、2024年度には研究成果を国内外で発表する予定になっている。それゆえ、本研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
ただ、本年度は現地での史料調査を行えなかったため、論文執筆に必要と思われる他都市の未刊行史料にあたることができなかった。次年度、早い段階で現地に赴いて史料調査を行い、速やかにそれらの史料を精査し、論文執筆に取り組んでいきたい。

今後の研究の推進方策

次年度は、スイスの都市フリブール、チューリヒ、ベルン、シャフハウゼンで史料収集を行い、とくに他都市の状況についてフリブールの事例と比較検討したい。現地では、フリブールやベルンにおいて専門家らと協議し、研究内容や今後の作業について助言を得たい。
本研究の研究成果は、今後、5月の日本西洋史学会近世史部会にて発表する予定である。また7月にはスイス史研究会において口頭で研究報告を行う。その後、日本語とドイツ語で論文をまとめ、研究成果を日本とスイスの学術雑誌に投稿する。

次年度使用額が生じた理由

本年度は現地での史料調査を実施することができなかった。次年度、本年度に調査すべきだった史料も含めて現地調査を行う予定である。具体的には、スイスの都市フリブール、ベルン、チューリヒ、シャフハウゼン等の古文書館において史料調査を行う。
また、次年度はすでに学会発表を予定しており、発表に関する旅費、資料準備費などを計上する予定である。論文投稿に関する費用も次年度に計上する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Closing Discussion2024

    • 著者名/発表者名
      Takako Kamiya
    • 学会等名
      International Conference: Spatial and Social Mobilities in the Medieval and Early Modern Alpine Regions
    • 国際学会
  • [学会発表] 市民からこぼれ落ちてゆく人びと 中近世スイス・フリブールにおける女性・ユダヤ人・聖職者2024

    • 著者名/発表者名
      神谷 貴子
    • 学会等名
      第74回日本西洋史学会 近世史部会

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公開日: 2024-12-25  

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