研究課題/領域番号 |
23K18735
|
研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
岩佐 佳哉 大分大学, 減災・復興デザイン教育研究センター, 助教 (00981416)
|
研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
|
キーワード | モバイルLiDAR / 地形災害 / 活断層 / 2024年能登半島地震 / 海岸隆起 / 津波 |
研究実績の概要 |
人々や社会に甚大な影響をもたらす自然災害の多く(例えば、地震や土砂災害)は、突発的な地形変化に起因するものである。例えば、内陸活断層による地震災害では、強震動だけでなく、地表地震断層のずれにより家屋などを変形させる被害が生じ、周辺には斜面崩壊や地すべりが発生する。このような地表地震断層や斜面崩壊といった突発的に生じる地形変化は、災害の原因や対策を考える上で看過できない貴重なデータである。しかし、こうした地形変化は同時多発的に生じる一方で復旧工事や侵食により消失しやすいため、特徴を解明するには短時間のうちに現地へ赴き調査を行う必要がある。 本研究では、突発的な地形変化に伴う災害発生時に、短時間で詳細かつ正確な記録を可能とする、モバイルLiDARを用いた革新的な調査手法を開発することを目的とし、研究期間中に発生する地形変化をモバイルLiDARを用いて計測する実証実験を計画していた。 2023年度には、モバイルLiDARを用いてデータを取得するためのソフトウェアについて、従来のものよりも高度な処理が可能なソフトウェアによって高精度なデータを取得できるかを検討した。 2024年1月1日に発生した能登半島地震では、海底活断層の活動によって顕著な地殻変動と地形変化、津波が発生した。特に、能登半島北岸では海岸隆起が広範囲で発生し、その隆起量や隆起した地形の特徴を解明するためにモバイルLiDARを用いて地形計測を行った。また、内陸部では高さ2m程度の崖が出現し、その成因を検討するためにモバイルLiDARを用いた地形計測を行った。さらに、地盤の隆起を反映した津波の真の遡上高を計測するために、モバイルLiDARとGNSS測量を併用した地形計測を実施した。 能登半島地震の調査によって、災害発生時の野外調査におけるモバイルLiDARの有用性を確認した。以上の成果は2024年度に発表予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題開始当初に計画していた、1)モバイルLiDARの効率的な操作手順や地形計測方法の確立、2)研究期間中に発生する地形変化を対象とした実証実験、についておおむね達成した。また、実証実験を通じて地形変化の特徴を把握することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度に引き続き、主に能登半島を対象として実証実験を継続する。 また、2023年度の実証実験において、2024年能登半島地震で生じた地形変化の特徴を把握することができたため、その成果を国内学会において報告し、論文投稿を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画通りに野外調査および学会発表を実施できなかった。次年度では、成果発表にかかる費用としての使用を計画している。
|