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2023 年度 実施状況報告書

海外米軍基地の閉鎖合意条件―脅威、同盟、代替性の連関

研究課題

研究課題/領域番号 23K18762
研究機関成蹊大学

研究代表者

波照間 陽  成蹊大学, アジア太平洋研究センター, ポストドクター (80980614)

研究期間 (年度) 2023-08-31 – 2025-03-31
キーワード基地政策 / 前方展開 / 再配置 / 脅威認識 / 同盟
研究実績の概要

2023年度の主要な研究実績は米国での資料調査である。80年代後半から90年代前半にかけてのスペイン、フィリピン、沖縄の基地閉鎖合意の事例について、テキサス州カレッジステーションに在るジョージ・H・W・ブッシュ大統領図書館とカリフォルニア州シミバレーに在るロナルド・レーガン大統領図書館にて、公文書調査を行った。「公開」と表示されている関連フォルダを事前にインターネットで確認して各図書館を訪問したが、基地交渉に関する情報を内包すると思われる文書のほとんどがFOIAの請求後も公開免除となっていた。閲覧することができなかったものの、資料の(非)公開状況を確認することも重要な成果であった。機密扱いになっている資料の他にも、周辺のボックスやフォルダを悉皆的に調査することにより、断片的な新情報を入手することができた。それは、スペインやフィリピンとの基地閉鎖合意前に米国が、その後移転を引き受けることになる第三国と面会していた記録であり、それらから基地の処遇に関する問題について意見が交わされていたことが確認された。これは、本研究の仮説である「代替性の確保」を裏付けるために必要な資料の一つとなる。
この資料調査の成果を次年度初めに国際会議で口頭発表するため、ペーパーの執筆・報告の準備を行った。その内容はスペインとフィリピンの事例研究である。両事例は、受入国の民主化を背景とした基地閉鎖要求という点で類似性があり、ソ連崩壊・冷戦の終焉を挟んで外的脅威が変化したという相違点があるため、米国の基地閉鎖合意に対する、米国の脅威認識や基地の重要性という変数の影響を検証することができる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究の3つの課題(a)当時の国際情勢及び外的脅威に関する米国の認識、(b)争点の基地に関する米国の認識、(c)移転先となる国との交渉開始時期について、先に述べた米国での資料調査で、(c)を解明する証拠の一つを得た。また、(b)を示唆する公文書が非公表であることを確認したため、二次資料を再調査する必要がある。
当該年度の後期に非常勤で初めて担当する授業が1コマ増えたため、その準備のために想定以上に時間が取られてしまった。そのため(a)については十分な調査を進めることができなかった。次年度には新規の講義はなく、授業準備にかかる時間も大幅に減少するため、本研究にかける時間を確保して調査と執筆を進める。

今後の研究の推進方策

次年度は二次資料を中心に調査を進めつつ、研究成果を発表していく予定である。2024年4月のInternational Studies Association (ISA)年次大会での口頭発表をベースに、スペイン及びフィリピンの事例について研究成果の一部を英語論文として発表する。また、沖縄の事例については『防衛学研究』に論文を投稿する予定である。
課題(a)(b)については二次資料を精査した上で、米国立公文書館(ワシントンDC)にて国防総省及び国務省のアーカイブを中心に資料調査を実施する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Is a Democratizing State Strong in Negotiation? Reexamining Conditions for the U.S. Agreement on Closing the Bases in Spain and the Philippines2024

    • 著者名/発表者名
      Shino Hateruma
    • 学会等名
      International Studies Association
    • 国際学会

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公開日: 2024-12-25  

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