研究実績の概要 |
本研究の目的は、会話分析の手法を用いて分析上のノイズとして扱われてきた雑談に焦点を当て、学習者がグループワークにおける雑談を通じて何を達成しているのかを検討し、雑談の機能を明らかにすることである。さらに教員が適切にグループワーク中の雑談に介入できるよう、介入すべき雑談と介入すべきではない雑談の特徴を明らかにする。これにより、グループワークを用いた授業やワークショップに関する研究や教育実践研究に貢献することが可能になると考える。 2023年度は国内の学会発表を2件行った((1)「グループワークにおける雑談の機能に関する検討」, 日本教育工学会 2023年秋季全国大会(第43回), 京都テルサ/オンライン 2023年9月15日、(2)「大学生のリフレクション活動はどのように達成されるのか」, 相互行為上の課題に着目して 日本質的心理学会 第20回大会 立命館大学大阪いばらきキャンパス 2023年11月4日))。また、収集したデータについて会話分析の手法を用いてシングルケース分析を行った学術論文が「質的心理学研究」に掲載された(「学生は雑談することによって何をしているのか?ー授業内グループワークにおける雑談の相互行為分析」, 質的心理学研究, 23(Special), 2024年3月)。分析の結果、学生は雑談することで志向を共有し、全員で新たな話題に参加していることが明らかになった。学生はグループワークを全員が参加できるものにするために雑談を利用している可能性が示された。
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