研究課題/領域番号 |
23K18900
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
元濱 奈穂子 一橋大学, 森有礼高等教育国際流動化機構, 助教 (70976993)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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キーワード | 大学教育 / 市民参加 / 互恵性 / サービスラーニング / 学修成果 |
研究実績の概要 |
本研究は、市民の協力の下で大学生の資質・能力の向上を目指すボランティアや体験学習などの教育機会を「市民参加型大学教育」と呼び、当該教育において理想とされている「互恵性」という概念に着目するものである。具体的には、市民と大学(生)がともに学ぶことを表す「互恵性」が現場でどのように具現化されているのか、および、具現化にあたってどのような課題や限界があるのかについて、実証的な観点から議論することを目標とする。2023年度は、主に以下の2点について研究を進めた。 第1に、市民参加型大学教育を実施している大学1事例を対象に、参与観察、および、参加する市民に対するインタビュー調査を実施した。いずれの調査でも、市民と教員との役割分担に焦点を当て、双方が相手にどのような役割を期待し、その期待がどの程度満たされている/いないのかを検討した。それを通じて、市民参加型大学教育で大学と市民の学びを同時に実現するうえで必要な事がらや課題を仮説的に見出すことができた。 第2に、市民参加型大学教育に関する文献調査を実施し、先行研究において市民と大学の学びが実現する条件がどのように語られているのかを検討した。その結果、市民参加型大学教育に対する市民と大学の共通認識の形成の必要性とその方法について、先行研究間での共通項を見出すことができた。さらに、見出された共通項の実現にあたって障壁となりうる大学教育の制度的側面について考察を深めることができた。 2023年度は上述の2点の研究成果を論文化した。論文は国際ジャーナルに投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者の妊娠・出産・育児により、予定していたインタビュー調査・参与観察の一部が実施できなかったが、代わりに文献調査と論文執筆を進めることができた。また、2023年度に予定していたインタビュー調査・参与観察についても、2024年度の後半まで実施できる目途が立っている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度はさらに2事例に対してインタビュー・参与観察を実施する予定であり、いずれも調査の内諾を得ている。また、2023年度の知見を引き継ぎながら、アメリカにおける市民参加型大学教育に関して理論的な検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の妊娠・出産・育児により、予定していたインタビュー・参与観察の一部が実施できなかったために、旅費の支出が予定を下回った。これらについては、2024年度に実施するインタビュー・参与観察、および学会発表に係る旅費で支出する予定である。
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