研究実績の概要 |
特別支援教育支援員に対して各自治体や大学、NPO団体等が行っている研修について、研修内容や研修方法に関する実態を明らかにすることを目的とし、国内における先行研究(書籍、論文等)および聞き取り調査、また海外における聞き取り調査を行った。先行研究において、財源の問題、講師の人材不足等を要因に、研修を行う自治体は半数に満たないこと(庭野,2009)や、支援員自身が自分の実践を振り返って自己評価できるような研修を実施して行くことが必要(庭野,2010)などの課題や展望が明らかになった。また、各自治体が行う研修について、発達障害の理解、効果的な支援方法、特別支援教育支援員の在り方など、核として必要とされる内容には概ね共通したテーマがある一方、きめ細かに教室内での子ども及び教員の動きや関係性を観察する視点、学級担任、他の教職員や特別支援教育支援員との情報交換および連絡・調整などの視点が求められていることも示された(国立特別支援教育総合研究所,2013)。また、国内における聞き取り調査では、主婦や学生の応募、兼業者の増加など、支援員を希望する人の実態の多様化、障害のある子どもへの理解に加えて支援員としての立場や役割の理解といった研修の基盤、座学に加えてフォローアップや相談などの重要性が示された。さらに海外(イタリア)における聞き取り調査では、全ての支援員に対して400時間の理論コースに加え年間200時間のインターンシップを2回受けるといった実施研修、教師、心理士、医師の協力を得て、個人のニーズや特性を理解し、サポートプランを立てるための専門研修等の実態が明らかになった。 これらの知見を基に23項目の質問項目を選定し、令和6年4月に関東7都県316の市区町村教育委員会に対して、「小中学校における特別支援教育支援員に対する研修と評価に関するアンケート調査」を実施し、現在結果集計中である。
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