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2023 年度 実施状況報告書

公立高校における日本語指導の言語観・言語教育観

研究課題

研究課題/領域番号 23K18958
研究機関関西大学

研究代表者

村上 智里  関西大学, 国際教育センター, 留学生別科特任常勤講師 (10981235)

研究期間 (年度) 2023-08-31 – 2025-03-31
キーワード日本語指導 / 教育委員会 / 日本語指導担当者
研究実績の概要

日本の学校における日本語指導をより充実したものにしていくためには、教育委員会や担当教員など、立場が異なる関係者がそれぞれどのような態度・認識で日本語指導に関わっているのかを明らかにし、方向性の検討を重ねていく必要がある。そこで2023年度は調査協力を依頼したA市の教育委員会担当者およびB校の日本語指導担当教員を対象に以下のように調査を実施してきた。
1)インタビューデータの分析方法の検討:本研究では日本語指導担当教員および教育委員会担当者に対するインタビューを行うが、KH Coderを用いた計量テキスト分析を用いた分析を行うことを検討している。そのため、A市とは異なる地域で日本語指導を担当していた教員に対するインタビュー調査を前述の方法で分析し、分析方法を検証した。その結果は、言語文化教育研究学会第10回年次大会において、「日本語指導担当者が抱えていた課題ー心的態度を表す語に着目してー」というタイトルで発表した。
2)B校の日本語指導担当教員に対するインタビュー調査:2023年度から始まった日本語指導について半構造化インタビューを行った。
3)A市の教育委員会担当者に対するインタビュー調査:2)と同様、2023年度から始まった日本語指導および同委員会作成の日本語指導指針について半構造化インタビューを行った。
4)A市の日本語指導指針の入手と分析の検討:3)のインタビュー内容を踏まえ、同指針の分析の方向性を検討するため第32回情報保障研究会において「文科省とA市教育委員会の日本語指導指針の比較」というタイトルで進捗について報告した。
5)日本語指導担当教員による授業記録の検討:2024年度から授業記録を開始できるよう、記録内容や方法について調査協力者との相談を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

1)インタビュー調査について:調査協力を依頼していたA市教育委員会との調整に時間がかかり、同市教育委員会担当者およびA市B校の日本語指導担当教員へのインタビュー実施が予定よりも遅れた。そのため、インタビューデータの文字起こしおよび調査協力者による文字起こしの確認作業は次年度に持ち越した。また、当初はA市とB校に絞って日本語指導の関係者らのインタビュー調査や指針の分析を行い、改善案を提案する予定であったが、高校における特別の教育課程での日本語指導は2023年度に始まったばかりであり、他地域との共通点や相違点を明らかにすることで地域を超えた改善策を提案する必要性もあると考えた。そのため、A市B校に焦点を当てた研究を進めながら、同時に他地域の日本語指導についても調査を実施する。
2)日本語指導指針のテクスト分析:A市の日本語指導指針は入手できたが、分析結果はA市の名称を出さずに発表する必要があるため、研究方法や発表方法の検討を重ねてきた。また、1)と同様の理由で、他地域や文部科学省の指針との比較を行う必要性も生じた。文部科学省の指針に対する分析は2021年に発表したものを援用しながら分析の枠組みを検討してきたが、他地域の指針については24年度から収集と分析を始める予定である。

今後の研究の推進方策

2024年度は以下のように研究を進める予定である。
1)B校の日本語指導担当教員に対するインタビュー:2023年度中に1回実施したが、2024年度も半年に1回の間隔でインタビューを行う(8月、2月の予定)。
2)B校の日本語指導担当教員による授業記録の実施:毎回の授業記録をつけてもらい、授業の中でどのようなことが重視されているか、あるいは懸念されているかを明らかにすることで、A市の日本語指導指針に還元できる要素がないかを検討していく。
3)A市以外の教育委員会担当者・B校以外の日本語指導担当教員に対するインタビュー:A市が属するC県の市町村を中心に調査協力の依頼をし、インタビュー調査を実施する予定である。
4)日本語指導指針のテクスト分析:他地域や文部科学省の指針との比較を通してA市およびA市が属するC県全体の日本語指導の方向性について分析を行う。他地域の日本語指導指針等については24年度より収集を進めるが、かなりの時間を要するため学内アルバイトを採用し2024年度5月から作業に取り掛かる。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じたのは、23年度に調査協力者に依頼する予定だった調査が実施できず謝礼を支払う必要がなくなったこと、調査協力者へのインタビュー調査の回数が当初の予定よりも減り、さらにその実施日が年度末になったため文字起こしを次年度に持ち越したことが理由である。この次年度使用額は、まず前述の文字起こしの費用として使用する。また24年度は研究の方向性を一部変更し調査地域を広げる予定であるため、増えた分のインタビュー調査の謝礼や文字起こしの費用として使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 日本語指導担当者が抱えていた課題ー心的態度を表す語に着目してー2024

    • 著者名/発表者名
      村上智里
    • 学会等名
      言語文化教育研究学会

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公開日: 2024-12-25  

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