研究課題/領域番号 |
23K18967
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
藤田 和也 筑波大学, 人間系, 助教 (00986812)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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キーワード | 心理統計学 / 認知モデリング / コンピュータ適応型テスト / サンプルサイズ設計 / 検出力 |
研究実績の概要 |
心理学実験においては,効果がある時に効果があると正しく判断できる確率である検出力の高さが必要となる。本研究では,認知モデルを階層化した階層モデルにおける検出力を計算し,参加者に提示する実験刺激と収集すべきデータ数を決定する枠組みを開発している。認知モデルとは人の意思決定などの認知プロセスを数式により表現した数理モデルである。またここで言う実験刺激とは,ギャンブル課題を用いた意思決定課題などにおける報酬額や報酬が得られる確率のことであり,参加者に提示される刺激全般を指す。 既に,階層モデルにおける検出力が計算負荷の低い方法により予測できることはシミュレーション実験により確認できている。またこの手法を利用して,収集するデータ数を決定するサンプルサイズ設計の具体的手順についても提案している。この研究については,いくつかの学会において発表を行っており,現在論文投稿に向けて準備を行っている。 これらの手法により,検出力が高く妥当性が高い状態で心理学実験を行うことができるようになることが期待されている。またこの手法は,より複雑な認知モデルだけでなく,よりシンプルな一般化線形混合モデルにおいても適用できる手法である。多くの研究者にとっては,一般化線形混合モデルの方が活用する機会は多いかもしれない。さらに,今後の研究計画では,実験途中で実験の停止か継続かを判断する中間解析を組み合わせて,更にコスト低く妥当性の高い実験が行えるよう研究を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
授業資料の準備など,研究以外の大学業務が比較的多かったため,やや研究の進捗が遅れている (新任だったため,次年度はこの問題は解決する)。
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今後の研究の推進方策 |
研究1に関しては既に完了しているため,論文投稿を行う。研究2に関しては,まずは中間解析に関する文献調査とシミュレーション研究を別途行う。その後,中間解析と研究1を組み合わせる手法を提案しシミュレーション実験に移行する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は新任かつ秋学期に担当授業が集中しているため,当初の予定よりも研究の進捗が遅れており,支出額が大幅に少なかった。 今年度は,大規模なシミュレーションを実施するために,デスクトップPCなどの計算機類を購入予定である。また論文の英文校閲費に使用する予定である。
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