研究実績の概要 |
原子炉過酷事故時の格納容器健全性の評価や、福島第一原子力発電所の燃料デブリの性状推定の観点から、溶融炉心-コンクリート相互作用(MCCI)の基礎的な現象理解が重要である。 本研究では、MCCIのような多相多成分流を解析できる潜在性がある数値流体力学の一つMoving Particle Semi-implicit(MPS)法の多相多成分間界面張力モデルの改善および妥当性確認を目的とする。 当該年度にはまず、MPS法で3種類以上の非混和流体が交わる交点/交線(Multiple junction)上の界面張力をモデル化するための周辺モデルを整備した。Multiple junction上で界面張力を模擬する方法はすでに格子法の分野でSmithらにより確立している(K. Smith, et al., Interfaces and Free Boundaries, 4, pp. 263-276, 2002) が、MPS法は格子法と異なり粒子で流体を模擬するため、Smithの方法をMPS法に直接実装することはできない。本研究では、格子法のVolume of Fluid法で一般的に用いられるContinuum Surface Force (CSF)モデルをMPS法でも利用できるようにしたContoured CSF(CCSF)モデル (G. Duan et al., Journal of Computational Physics, 298 pp. 280-304,2015) を実装することで、Smithの方法をMPS法に適用することを可能にした。 加えて当該年度には、令和6年度に行う界面気泡通過実験のための実験装置を構成し、単相水中の気泡流をハイスピードカメラで記録する試実験を通して実験環境を整備した。この試実験の結果を用いて、本研究で参照数値解として利用する格子法に基づく手法の気液二相流解析の妥当性確認を実施した。当該研究の結果は査読付きProceedingを伴う国際会議NUTHOS-14(2024年8月カナダ)に発表される。
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