研究課題/領域番号 |
23K19044
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
川田 七海 東北大学, ニュートリノ科学研究センター, 特任助教 (50981396)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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キーワード | ニュートリノ / 素粒子 / ニューラルネットワーク / 機械学習 / 地球科学 |
研究実績の概要 |
本研究では、現状最高精度で地球ニュートリノを観測しているカムランド実験に対してニューラルネットワークを用いる新たな事象再構成を適用し、地球ニュートリノ信号の背景事象となる検出器外部からのガンマ線背景事象を解析的に除去することを目指す。 本研究の要となるニューラルネットワークの教師データセットとして、検出器シミュレータを作成した。多数のパラメータの同時最適化に適したフレームワークOptunaを活用し、GEANT4に基づくカムランド検出器シミュレーションツールを元に検出器応答の最適化を行なった。放射線源キャリブレーションの観測データを完全に再現するには至らないものの、今後、ニューラルネットワークの開発進展に合わせて更なる最適化を行う見通しである。 また、当初予定していたグラフニューラルネットワークによる粒子識別に加えて、決定木モデル機械学習を用いた反電子ニュートリノによる逆ベータ崩壊反応と偶発同時計測事象の弁別にも取り組み、従来の尤度関数法による弁別より高い信号利得が得られることを確認した。 今後は、今年度に調達したGPU計算資源を活用し、今年度に開発した上記の枠組み(最適化フレームワークOptunaによる検出器シミュレータの調整、決定木モデル機械学習を活用した反電子ニュートリノ信号選定条件の改善、グラフニューラルネットワークを活用した粒子識別法による背景事象低減)の性能をさらに向上させる見通しである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の実施計画にある通り、最適化フレームワークOptunaによる検出器シミュレータの調整、背景事象低減のためのニューラルネットワークを用いた粒子識別などの枠組みの開発が進んでおり、加えて当初の計画には含まれていなかった決定木モデル機械学習による背景事象低減にも取り組んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に調達したGPU計算資源を活用し、今年度に開発した種々の枠組み(最適化フレームワークOptunaによる検出器シミュレータの調整、決定木モデルを活用した反電子ニュートリノ信号選定条件の改善、グラフニューラルネットワークを活用した粒子識別法による背景事象低減)の性能をさらに向上させる見通しである。
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