今後の研究の推進方策 |
当初予定していた問題「ケイ酸塩と水の混合の非理想性の評価」に本格的に取り組む。手順は次の通りである。 [1] まず、従来の理論式の水の部分モル体積の項に実験によって求められた値 (Ochs & Lange, 1999) を代入する。これにより、ある圧力と基準圧力における H2O の活量係数 γ の値の比の温度・圧力依存性、すなわち混合の非理想性を明らかにし、理論式の内部整合性を確保する。 [2] 次に、Stolper の理想混合モデルの代案として、3成分非対称正則溶液 (Kakuda et al., 1994) の適用を検討する。具体的には、ある圧力とそのごく近傍の圧力数点における γ を、O (ケイ酸塩メルトの架橋酸素), H2O, OH の3成分の各モル分率、および各成分粒子間に働く七つの相互作用エネルギー w_ijk の関数として導き、連立して最小二乗法で γ と w_ijk の値を得る。 [3] この計算を広い温度・圧力範囲 (700-1200℃, 1-5000 気圧) で行い、得られた γ と w_ijk の温度・圧力依存性を定性的に考察する。 すでに [1], [2] の途中までは進んでおり、年度内の論文化および投稿・プレプリント公開を目指す。また、現在投稿中のスピノーダル分解に関する論文についても、受理を目指す。
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