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本研究では、(1)熱可塑性複合材料の成形時残留変形と長期変形の発生機構解明に取り組み、(2)変形量を予測する粘弾性マルチスケール解析を開発した。(1)では、熱可塑性複合材料(T700G/LM-PAEK)の反り変形を、熱硬化性複合材料(T700G/2510)と比較して、実験的・数値解析的に調査した。実験では、両材料を用いた非対称積層板の成形時とその後84日間にわたる反り変形を測定した。解析では、動的粘弾性測定と熱機械分析により評価した一方向材の物性を用いて、異方性粘弾性と幾何学的非線形を組み込んだ積層板スケール解析を実施した。実験結果から、成形時残留変形はT700G/LM-PAEKが大きく、長期変形はT700G/2510が大きいことが分かった。解析結果との比較から、残留変形はT700G/LM-PAEKのガラス転移温度以上における高い線膨張係数の寄与が大きく、長期変形はT700G/2510の吸湿による弾性率低下の影響が大きいことが明らかになった。吸湿の影響を反映したシフトファクターの適用により、いずれの変形挙動も本研究で構築した数値解析により高精度に予測できることを示した。(2)では、(1)の解析に繊維/樹脂スケール解析を追加し、Non-crimp fabric(NCF)複合材の成形時残留変形を評価した。NCF/epoxyとNCF/PA6を対象とし、樹脂単体の粘弾性特性を用いた繊維/樹脂スケールの周期セル解析によって一方向材の異方性粘弾性特性を導出した。この結果を用いて、NCF複合材の積層板スケール解析を実施したところ、実験の成形時残留変形を高精度に予測することに成功し、粘弾性マルチスケール解析の妥当性を示した。以上の研究成果により、熱可塑性/熱硬化性複合材料における成形時残留変形と長期変形の発生機構に関する重要な知見を得たとともに、変形予測に資する解析基盤を確立したと考える。
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