研究実績の概要 |
準安定相バルク材料の作製プロセスを実現するため、水熱法によってYb2Si2O7の組成比に対応する非晶質粉末を作製した。硝酸Yb水溶液にアンモニア水を滴下してpHを10に、メタケイ酸ナトリウム水溶液にHClを滴下してpHを1に制御する。これ らの溶液を混合し、最終的にpHを10に制御した後、オートクレーブに封入し180°Cにて3h水熱処理を施し、非晶質粉末を得た。また、イオン半径に依存した相転移挙動を解明するために、Ybの20mol%Er, Dy, Euに置換したサンプルを作製した。 当該粉末を1050℃までの温度域に晒し、ex-situのXRD、高温XRD、TG-DTAにて測定し、相転移の評価を行った。950℃に3 h晒した後、Euをドープした試料では比較的結晶性の高い準安定相(α相)が主相として同定された。1050℃に3 h晒した後、全てのサンプルは安定なβ相を示し、ドープした希土類半径が大きくなるにつれてピークが低角側へシフトした。置換した希土類のイオン半径が多くなるにつれて結晶化温度の低下と結晶化後の準安定相分率の増加が観察された。 また、特注設計した超硬ダイスを用いて、結晶Yb2Si2O7に対して5mol/LのNaOHを40wt%混合し、300℃にて30min保持し、200MPaで低温焼結を実施した。形状は保持していたものの、亀裂が観察された。焼結に関しては改善が必要であり、NaOH分率の低い溶媒や溶媒量、温度条件など、緻密化の条件を探索する。
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