研究課題/領域番号 |
23K19088
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
末田 美和 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (40981577)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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キーワード | 自己同期現象 / 非線形振動 / 自励振動 / 初期状態 / 初期値依存性 |
研究実績の概要 |
2つの回転型振動子を搭載した機械システムに発生する自己同期現象について,初期状態が及ぼす影響を数値的に検討した.まず,1自由度並進系に2つのDCモータが搭載された解析モデルを設定し,ルンゲ・クッタ・ギル法を用いて初期状態から定常状態に至るまでの挙動を求めるプログラムを作成した.定常状態には主に同位相同期,逆位相同期,非同期の3種類があり,これはシューティング法により得られる周期解と比較することで判定した.その後,2つのモータの初期位相を変化させて数値解析を行い,静的平衡状態で系が静止している状態から2つのモータにそれぞれ電圧を印加することで,初期状態から定常状態への遷移を調べた. 数値解析を行った結果,2つの振動子のパラメータが等しい,あるいは近い値を取る場合には,初期状態と定常状態における2つの振動子の位相関係は同様のものとなることが確認できたが,2つの振動子のパラメータが異なる場合には初期状態とは異なる定常状態の位相関係が求められた.また,同位相同期から逆位相同期へと同期パターンが切り替わる初期状態においては非同期状態や倍数次同期などが確認され,一部の初期値においては初期状態と定常状態の対応関係が明瞭に見られない領域があることが示唆された.また,初期状態が自己同期現象に与える影響を実験的に検証するために,解析モデルに対応した実験装置の設計を行った.以上の研究から得られた知見は初期状態が自己同期現象に与える影響の解明だけでなく,自己同期現象を応用した振動機械の効率的な設計への寄与が期待できる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初期状態が自己同期現象に与える影響を調べるために必要な解析モデルの設定および数値解析プログラムの作成は完了しており,数値解析を行う環境を整備できた.また,数値解析によりモータの初期位相が与える影響を調査できた.一方で,実験装置については作製が完了しておらず,実験的な検討を進めるためにも早急に作製する必要がある. 以上の事実から,本研究がおおむね進展していると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
今後は実験的な検討を進めるために,まずは実験装置を完成させる.その後実験を行い,数値解析により得られた結果と比較して,数値解析の妥当性の検証および実機における初期値依存性の考察を行う. また,数値解析ではブロックの初期変位や初速度,モータの初速度が与える影響を調べる.定常状態が切り替わる初期値については詳細な検討を行い,同位相同期,逆位相同期,非同期,倍数次同期について大まかな場合分けが行えるようにする.数値解析および実験により得られた結果を元に,初期状態が定常状態に与える影響を解析的に導出し,定性的な理解を進める.
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