• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

宇宙機の精密位置制御に資するマイクロガスジェット推進機の宇宙性能補正則の確立

研究課題

研究課題/領域番号 23K19099
研究機関東京都立大学

研究代表者

西井 啓太  東京都立大学, システムデザイン研究科, 助教 (10980245)

研究期間 (年度) 2023-08-31 – 2025-03-31
キーワード宇宙推進 / ファシリティエフェクト / 超小型推進機 / ノズル / 粒子計算
研究実績の概要

本研究は,マイクロガスジェット推進機を対象に,主として背景圧力による「ファシリティエフェクト」の解明及び宇宙性能予測の不確かさを低減するものである.本研究では実験的な検証と高忠実度数値計算による予測の二つの側面から進められる.
2023年度には,実験的検証のため,推力測定装置の設計製作,ノズル・流量制御装置を含む推進機モジュールの構築,真空チェンバ内部の圧力分布を測定するための真空計の準備が行われた.作成された推力測定装置を用いて,ノズルからの推力が不確かさ1%程度で測定できることを確認した.真空計は中真空領域で高精度のキャパシタンスゲージで真空チェンバ内で自由に設置できるマイクロピラニ/ピエゾ真空計を較正した.これらにより2024年度からファシリティエフェクトの影響を実測する準備が整った.
数値計算による予測は,Direct Simulation Monte Carlo法を用いる計算コードを開発し,ノズル流れのシミュレーションを行った.コードのOpenMP並列化によってReynolds数200程度までのノズル内部及び周囲の直接シミュレーションを行うことに成功した.本研究ではこれまでの研究では不明であった,推力低下の原因の定量化と,低下のReynolds数依存性を明らかにした.また,実験では困難である宇宙性能の予測も実施され,本研究によって得られたパラメータ依存性から,実験に基づき宇宙性能を推算する方法が提案された.一方,計算領域の拡大の必要が示唆されたため,2024年度にはコードの大規模並列化を可能にする改修を行う.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は実験と数値計算の両面から進行される.申請者が新しい所属に移動したため,実験で新たに必要な製作物が多く存在したが,ファシリティエフェクトを理解するために必要なものの準備はすべて完了した.数値計算においては,申請者の所有する計算コードを改良することで,これまで明らかになっていなかったファシリティエフェクトに関するいくつかの要素を明らかにすることができた.この結果は査読付き国際誌へ投稿準備を進めている.以上の状況から,全体を通して当初の予定通り進行していると判断した.

今後の研究の推進方策

実験面では,必要な物品の準備が完了したため,ノズル推力測定と周辺の圧力分布を同時に測定し,ファシリティエフェクトを実験的に理解する.また,1つの環境だけではなく複数の実験環境で同一の推進装置を作動させることで,特定の環境下以外でファシリティエフェクトがどのように変化するかを明らかにする.
数値計算面では,真空チェンバ全体のような大きな空間を解くため,計算コードをGPUを用いた大規模並列計算可能にする.アップデート後は,ノズル近傍のみであった計算領域を真空チェンバ全体へ拡大し,ノズル単体に着目するのではなく,施設全体としてファシリティエフェクトを考察していく.

次年度使用額が生じた理由

本研究で使用する真空チェンバーは学生と共同利用しているが,学位論文にかかる実験を優先したために実験の開始が2024年3月となってしまった.そのため,当初は2023年度の実験で使用を予定していた物品の一部が翌年度の調達となった.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 宇宙機用マイクロスラスタにおいて地上試験時に発生する性能低下の定量的な解明2024

    • 著者名/発表者名
      西井啓太
    • 学会等名
      日本航空宇宙学会 第55期 年会講演会
  • [学会発表] 微小推力ガスジェット推進機の地上試験におけるファシリティエフェクトの数値的研究2023

    • 著者名/発表者名
      西井啓太,各務聡
    • 学会等名
      第67回宇宙科学技術連合講演会
  • [備考] 西井啓太のホームページ-研究内容-

    • URL

      https://sites.google.com/view/keita-nishii/research?authuser=0

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi