研究課題/領域番号 |
23K19151
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
石丸 太一 東京理科大学, 創域理工学部社会基盤工学科, 助教 (10984974)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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キーワード | 盛土構造物 / 内部侵食 / 細粒分流出 / 三軸試験 / 個別要素法 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、細粒分流出による土の強度特性の変化とその主要因の探索を目的として、透水侵食履歴付与可能な三軸試験機に、供試体を凍結させる機構を追加した新システムによる室内三軸試験、および、個別要素法(DEM)による侵食を再現した土試料の三軸試験シミュレーションを実施することである。 令和5年度は、凍結機構を有する三軸試験機を新たに製作した。製作前に恒温水槽のデモ機で予備実験を行った結果、当初構想していた方法ではうまく供試体を凍結できなかった。そのため、新たな方法を考案し、試行錯誤の上、実験システムを完成させた。本システムは、供試体の形成、圧密、透水侵食履歴の付与、各種強度試験を実施でき、任意段階で供試体を凍結させることで、土の内部状態を保持したまま取り出すことが可能である。また、細粒分流出を受けていない供試体に対する非排水繰返し試験を実施し、細粒分流出を受けた供試体の強度特性と比較するための予備データを収集した。今後は、完成した実験システムを用いて本実験を実施し、侵食による土の状態変化と強度特性の関係を明らかにしていく。 個別要素法(DEM)解析では、PC等の環境整備が完了し、一般的な三軸圧縮試験をシミュレートできる状態になった。現在は、部分的に粒度が異なる供試体を作製する方法を検討している段階である。令和6年度は解析方法を確立し、実験結果が収集でき次第、再現解析を実施していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
凍結機構を有する三軸試験機を新たに製作する前に恒温水槽のデモ機で予備実験を行った結果、当初構想していた方法ではうまく供試体を凍結できなかった。そのため、円筒型の冷却水槽を供試体の側面に設置し、供試体の全面から冷却する構造に変更した。その他、円筒水槽を三軸試験機内に設置するため、各種配管部品や接続部品の見直し、実験手順の変更など試行錯誤の上、実験システムを完成させた。実験装置の整備に時間がかかってしまったため、進捗がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
三軸試験では、完成した実験システムを用いて、細粒分流出の影響を受けた土の非排水繰返し試験を実施する。また、透水侵食履歴を受けた土の内部状況の変化を凍結・取り出し後の供試体の分析より明らかにしていく。最終的に、侵食による土の状態変化と強度特性の関係を明らかにしていく。 個別要素法解析では、部分的に密度や細粒分含有率が異なる供試体に対する三軸試験を実施し、力学挙動や粒子の動きを詳細に分析し、侵食によって土がどのように変化するのか、強度特性にどのように影響を与えるか、そして、その主要因は何なのかを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
本実験がまだ実施できていない状況で、装置の変更や整備にかかる費用が令和6年度に集中すると判断し、翌年度に一部助成金を繰越した。
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