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2023 年度 実施状況報告書

大名の国許御殿における唐紙の用例に関する研究 ー御三家と外様大名を中心に

研究課題

研究課題/領域番号 23K19169
研究機関崇城大学

研究代表者

小粥 祐子  崇城大学, 工学部, 准教授 (60398708)

研究期間 (年度) 2023-08-31 – 2025-03-31
キーワード唐紙 / 大名 / 国許御殿 / 室内意匠 / 文様 / 色 / 図面 / 作事文書
研究実績の概要

・本研究は、大名―特に外様大名と御三家―の国許御殿における「唐紙」の用例を明らかにすることを目的としている。「唐紙」とは文様を多色摺りした内装材のことである(地域によっては襖そのもののことを唐紙ということもある)。
・江戸時代、城郭内に建てられた御殿は、政庁・藩庁である「表」=公的領域と生活空間である「奥」=私的領域とに分かれる。この公私の弁別は、その室内意匠にも影響を与えた。
申請者が継続的に研究している幕府の政庁であり将軍とその家族の住居である江戸城本丸御殿の場合、公的領域は障壁画に包まれ、私的領域には障壁画のほかに「唐紙」が多用される。特に主人の居室の場合「唐紙」は「天井」に用いられた。
これに対して、大名が国許に建てた御殿の室内意匠についてみると未だ明らかになっていないことが多い。「表」の公的領域は障壁画が多用されたであろうことは推測される(ただし、画題の選ばれ方などは幕府と同じであるとは言い難い部分もある)。しかし、私的領域については各藩の独自性や参勤交代による二拠点生活の影響が室内意匠に表れるのではないかと推測され、その一因として「唐紙」の用例が挙げられる。
・2023年度は、江戸城本丸御殿、加賀藩金沢城二の丸御殿、尾張藩名古屋城二の丸御殿、盛岡藩盛岡城本丸御殿、薩摩藩鹿児島城本丸御殿の絵図(図面)および作事文書を調査した。
・調査・研究の結果、加賀藩金沢城二の丸御殿については、『御殿の美』石川県立歴史博物館2023企画展図録に「金沢城二の丸御殿のインテリア ー「唐紙」という室内装飾美ー」という題名で寄稿した。また、本研究成果の一部は、共同通信社配信の連載記事『御殿のインテリア』(全8回)にも反映させた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

・本研究の調査対象としている史料は、主に絵図(図面)と御殿を建設する際に作られた作事文書である。本研究で明らかにしたい「唐紙」という内装材は、もともと京都で作られた唐紙が、江戸および全国へ流通し伝播していった。一方で、京都の職人が江戸へ移り住んで江戸ならではの唐紙文様が産まれた。また盛岡藩では藩独自に作った板木が伝わっている。藩によっては、こうした「唐紙」が各藩へ伝播していった過程が分かる唐紙の流通に関する史資料も見出すことができた。

今後の研究の推進方策

当初計画していた外様大名・御三家の国許御殿の史料を調査するのと並行して、事前調査に把握していなかった外様大名の国許御殿に関する史料所在確認を行ったところ、あらたに幾つかの藩において御殿の室内意匠に関する史料があることを確認することができた。本研究内の範囲で可能な限り史料調査に赴きたい。

次年度使用額が生じた理由

古文書の翻刻を専門的な知識と技術を要する人に依頼するつもりであった。しかし、研究代表者が史料を確認・把握した時期が年度末に集中してしまったため、当該年度内に翻刻依頼することができなかった。このことから、次年度早々に専門的知識を有する方に翻刻依頼したい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 金沢城二の丸御殿のインテリア ー「唐紙」という室内装飾美ー2023

    • 著者名/発表者名
      小粥 祐子
    • 雑誌名

      『御殿の美』石川県立歴史博物館2023企画展図録

      巻: - ページ: -

  • [学会発表] 江戸城弘化度本丸御殿大奥設計時における唐紙の選定過程について2023

    • 著者名/発表者名
      小粥 祐子
    • 学会等名
      日本建築学会

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公開日: 2024-12-25  

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