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2023 年度 実施状況報告書

軟骨細胞の脱分化機構の解明と品質保持培養法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 23K19221
研究機関東京都立大学

研究代表者

山崎 雅史  東京都立大学, システムデザイン研究科, 助教 (70955088)

研究期間 (年度) 2023-08-31 – 2025-03-31
キーワード細胞核 / 軟骨細胞 / メカノバイオロジー / バイオマテリアル
研究実績の概要

本研究は軟骨細胞の脱分化においてアクチン細胞骨格から細胞核への力学作用を明らかにし,高弾性率基板上で細胞核の扁平化が生じるメカニズムを明らかにすることを目標としている。当初の研究計画に沿って2023年度後期に実験を実施した。その結果、軟骨分化誘導を行ったマウス軟骨前駆細胞をモデル軟骨細胞とし、高弾性率基板上で培養することによって軟骨関連マーカの遺伝子発現が低下する脱分化を確認した。軟骨関連マーカの遺伝子発現が低下していく過程で,アクチン細胞骨格、および細胞核の3次元形態変化を確認し、脱分化が進行するにつれて細胞内の線維性アクチンが増大した。FRETをもちいた細胞核膜張力センサを遺伝子導入した結果、アクチン線維の増大に伴って細胞核膜に伝達される張力が増大していることが明らかになった。(この結果ついては第36回バイオエンジニアリング講演会にて発表を行った。)加えて、軟骨細胞が発生する張力の3次元的解析を行うため,基質弾性率の調整を行い接着した細胞が発生する細胞牽引力の3次元的解析を行った.その結果,ヒト皮膚線維芽細胞において細胞核近傍の基板表面との接着領域において細胞核へと向かう張力が発生していることを明らかにした。(この結果ついては第34回バイオフロンティア講演会にて発表を行った。)現在、軟骨前駆細胞においても同様に3次元的解析を行い、同様に細胞核へと向かう細胞牽引力の発生を確認し、第47回バイオレオロジー学会での発表を予定している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画に沿って、軟骨前駆細胞に対する3次元牽引力評価、FRETによる細胞核膜に発生する張力評価、アクチン細胞骨格、細胞核の3次元形態解析の評価系を立ち上げることができた。また、株価細胞ではあるが、軟骨基質関連遺伝子の発現が低下する脱分化の減少をPCR法で確認し、脱文化の進行に伴って細胞核、アクチン細胞骨格の形態変化、および細胞核へ伝達される張力が増大していることを明らかにすることができた。一方で細胞核形態の3次元的解析については、高解像度の3次元画像撮影までは至ったがその後の解析手法が律速となっており、課題解決に努めている。

今後の研究の推進方策

当初の計画通り、細胞核の形態変化に関する評価指標を定め、細胞牽引力、FRET、細胞核形態の影響について明らかにする。加えて細胞核に伝達される力と脱分化の関係を明らかにするため、siRNA法を用いて細胞核とアクチン細胞骨格の結合の抑制が脱分化に及ぼす影響について検討し、細胞核形態を制御するための細胞外力学環境について考察する。

次年度使用額が生じた理由

購入予定の機器、および試薬などの物品の納期に時間を要したため2024年度に購入する運びとなり,次年度使用とさせていただいた。2023年度に購入予定としていた装置や試薬、2024年度での購入を予定している。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (4件)

  • [学会発表] 軟骨前駆細胞の分化状態に応じて変化する細胞核に伝達される力2023

    • 著者名/発表者名
      佐治 俊太郎 ,坂元 尚哉 ,Daniel Conway,山崎 雅史
    • 学会等名
      第36回バイオエンジニアリング講演会
  • [学会発表] 基質弾性率変化が三次元細胞牽引力に及ぼす影響評価2023

    • 著者名/発表者名
      室家 孝太,伊井仁志,坂元尚哉,山崎雅史
    • 学会等名
      第47回日本バイオレオロジー学会年会
  • [学会発表] 弾性率の異なる基質上で培養した 線維芽細胞の三次元牽引力解析2023

    • 著者名/発表者名
      山崎雅史、室家孝太 、 伊井仁志、安堵城万世、坂元尚哉
    • 学会等名
      第34回バイオフロンティア講演会
  • [学会発表] テロメア運動解析による​ 核内局所のDNAゆらぎ評価2023

    • 著者名/発表者名
      安堵城 万世,三好 洋美,伊井 仁志,坂元 尚哉,山﨑 雅史
    • 学会等名
      第34回バイオフロンティア講演会

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公開日: 2024-12-25  

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