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2023 年度 実施状況報告書

シェル分子内電離挙動の精密制御と被覆ナノ粒子のがん深部送達促進への展開

研究課題

研究課題/領域番号 23K19223
研究機関京都府立医科大学

研究代表者

武元 宏泰  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10709249)

研究期間 (年度) 2023-08-31 – 2025-03-31
キーワードがん / pH応答性 / ベタイン / ナノ粒子
研究実績の概要

本研究ではナノ粒子のシェルの電離挙動の基づいてがん細胞との相互作用やがん集積を制御することを目的としている。2023年度ではナノ粒子としてsiRNA内包脂質ナノ粒子に着目することで、研究を推進した。本研究で用いるシェル分子はエチレンジアミンに基づく高分子ベタイン構造を有している。エチレンジアミン構造のプロトン化挙動に由来して、生理的中性pHでは正味の電荷は中性であるが、がん組織に相当する弱酸性環境選択的にカチオン性を帯電(及びがん細胞取り込み促進)するように設計されている。
まず脂質ナノ粒子を調製するに関し、シェル分子の分子量に着目した。すると、シェル分子の重合度を20、70、110と変化させたところ、いずれの系においても弱酸性pH依存的なカチオン性挙動を示すことがわかった。このことから、本研究で必要とするpH依存性の発現にはシェル分子の分子量は関係しないことが示唆された。
得られた脂質ナノ粒子を培養細胞にアプライし、遺伝子発現抑制を評価したところ、シェル分子の重合度が20のものが最も高い性能を有していた。これをさらに探求したところ、細胞取り込み後のエンドソーム脱出において、シェル分子の重合度が20のものが優れていることがわかった。同等の傾向が脂質膜を用いた膜融合試験でも確認されたことから、本研究のシェル分子はその重合度を調節することで、がん細胞への取り込みだけでなく細胞内動態をも制御可能であることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度の成果として、脂質ナノ粒子の調製条件の確立に成功した。また、本研究のシェル分子の分子量を変化させることで、細胞内動態をも制御可能であることが新たに明らかとなったため。

今後の研究の推進方策

2024年度はナノ粒子を用いて各種生物系の実験に重きを置いて研究を推進する。特に、担がんモデルマウスを用いた実験を行うことで、がん集積性等に関して考察を進めていく。得られた結果は適宜分子構造へとフィードバックすることで、がん送達に優れるシェル分子の構造を最適化する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Fine tuning of the net charge alternation of polyzwitterion surfaced lipid nanoparticles to enhance cellular uptake and membrane fusion potential2024

    • 著者名/発表者名
      Homma Keitaro、Miura Yutaka、Kobayashi Motoaki、Chintrakulchai Wanphiwat、Toyoda Masahiro、Ogi Koichi、Michinishi Junya、Ohtake Tomoyuki、Honda Yuto、Nomoto Takahiro、Takemoto Hiroyasu、Nishiyama Nobuhiro
    • 雑誌名

      Science and Technology of Advanced Materials

      巻: 25 ページ: 2338785

    • DOI

      10.1080/14686996.2024.2338785

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] pH-responsive polyzwitterion covered nanocarriers for DNA delivery2023

    • 著者名/発表者名
      Shen Xin、Dirisala Anjaneyulu、Toyoda Masahiro、Xiao Yao、Guo Haochen、Honda Yuto、Nomoto Takahiro、Takemoto Hiroyasu、Miura Yutaka、Nishiyama Nobuhiro
    • 雑誌名

      Journal of Controlled Release

      巻: 360 ページ: 928~939

    • DOI

      10.1016/j.jconrel.2023.07.038

    • 査読あり
  • [学会発表] 生体内刺激応答性高分子の開発とがん送達への展開2023

    • 著者名/発表者名
      武元宏泰
    • 学会等名
      第11回 9大学化学会
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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