フッ素部位を持つアミド分子の溶媒物性について調べた。フッ素含有分子は分極率が低くなるため、高い酸素輸送特性が期待される。実際、予想通り、フッ素部位を持つアミド分子が、対応するフッ素非含有アミドよりも大きな酸素の拡散係数とヘンリーの法則の溶解度定数を示すことを確認した。イオン伝導度は、分子量が小さいほど、また電解液のフッ素含有アミドの混合比が低いほど高くなった。現在は分子の還元耐性(すなわち充放電時の分解のしやすさ)の評価方法の一つとして、オンライン質量分析法の立ち上げに取り組んでいる。また、正極上析出物中の副生成物の局在箇所の特定に向けて飛行時間型二次イオン質量分析(ToF-SIMS)とX線光電子分光法(XPS)測定を用いた分析を実施し、その局在箇所が析出物の成長・後退界面に影響を受けることを実証した。
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