研究課題/領域番号 |
23K19286
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研究機関 | 新潟薬科大学 |
研究代表者 |
佐藤 里佳子 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 特任助教 (10981061)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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キーワード | 油脂酵母 / Lipomyces starkeyi / トリアシルグリセロール / 油脂蓄積 / 比較ゲノム |
研究実績の概要 |
油脂酵母Lipomyces starkeyiは、細胞内に油脂を高蓄積することが可能な酵母であるが、これまでに変異処理によって油脂をほとんど蓄積しない油脂低蓄積変異株を複数株取得している。上記の油脂低蓄積変異株の油脂低蓄積性に関与した遺伝子が明らかとなれば、油脂生産に関する新たな遺伝子の同定、油脂合成・分解機構に関する新たな知見を獲得することが期待される。本年度は、油脂低蓄積の原因となった遺伝子を明らかにすることを目的とした。 取得済みの油脂低蓄積変異株の原因遺伝子を同定するために、野生株と油脂低蓄積変異株との比較ゲノム解析より、油脂蓄積に影響を及ぼしたと考えられる変異遺伝子を複数抽出した。抽出した候補遺伝子のうち、油脂生産に関与した遺伝子を明らかにするため、油脂低蓄積変異株由来のそれぞれの変異型遺伝子を野生株の野生型遺伝子上に置換した株を作製し、油脂低蓄積変異株の生育と油脂生産性を指標として原因遺伝子の同定を試みた。その結果、油脂低生産に関与した遺伝子を見出すことができた。また、原因遺伝子の破壊株を作製し、生育と油脂生産性を調査したところ、野生株と比較して油脂生産性が向上し、油脂酵母L. starkeyiにおいて、油脂高生産に繋がる遺伝子であることを明らかにした。今後、本遺伝子のアミノ酸配列情報からの機能予測、及び油脂合成に関わる遺伝子と油脂分解に関わる遺伝子への影響を調査し、油脂合成と分解機構に関する知見を獲得する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
比較ゲノム解析より油脂低蓄積変異株の油脂低生産に関与した原因遺伝子の同定ができたことから、研究計画として順調に進んでいると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
原因遺伝子の変異型遺伝子置換株や破壊株において、これまでに明らかにしている油脂合成と分解に関わる遺伝子の発現量についてリアルタイムPCRを用いて調査し、油脂合成・分解経路への影響を明らかにする。また、原因遺伝子のアミノ酸配列情報などから機能を推定し、油脂合成・分解経路への関与について考察する。
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