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2023 年度 実施状況報告書

微生物接種により低メタン排出性を発揮するイネ根の特徴づけ

研究課題

研究課題/領域番号 23K19316
研究機関茨城大学

研究代表者

迫田 翠  茨城大学, 農学部, 助教 (70982411)

研究期間 (年度) 2023-08-31 – 2025-03-31
キーワードメタン / イネ / 根 / 水田 / Azoarcus
研究実績の概要

Azoarcus sp. KH32C株のイネ種子への接種がイネ根に及ぼす影響を明らかにするため、KH32C株を発芽後のイネ(日本晴)種子に接種後、育苗し、黒ボク土水田に移植して栽培した。水田は中干しはしなかった。
イネ栽培期間中に2週間に1回程度メタンフラックスを測定したところ、分げつ期と登熟中期において、無接種区よりKH32C株接種区で低下した。イネ栽培期間中に排出されたメタンの積算量を推定したところ、KH32C株接種により約1割低減した。本試験とは異なる水田で行った先行研究と同様に、KH32C株接種によるメタン排出低減効果が示された。
分げつ期、幼穂形成期、登熟中期、収穫期にイネの地上部および根のバイオマス(乾燥重量)を測定したところ、KH32C株接種区と無接種区で同程度だった。また、根活性の指標として、α-ナフチルアミン酸化活性および出液速度を測定した。採取したイネ根のα-ナフチルアミン酸化量は、分げつ期から登熟期まで漸減し、収穫期で増加したが、KH32C株接種区と無接種区で同程度だった。出液速度は、分げつ期から登熟中期で増加する傾向があり、分げつ期および幼穂形成期の出液量は、無接種区よりKH32C株接種区で減少した。以上の結果から、イネ種子へのKH32C株接種は根機能へ影響を及ぼすことが示唆されたが、具体的な効果の検証が必要である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の計画通り、KH32C株を接種したイネの栽培試験を行って根の量および活性を調査し、KH32C株を接種したイネの根に関する基本的な情報を得た。一方で、2023年度中に行う予定だったイネ根の遺伝子発現量の解析は実施できなかった。また、土壌中の低分子有機物の定量方法の検討も不十分だった。

今後の研究の推進方策

2023年度中に実施できなかったイネ根の遺伝子発現量の解析は、2024年度中に実施する(根試料は採取済み)。また、土壌中の低分子有機物の定量方法の検討を行うのに十分な量の試料は2023年度中に既に採取しているため、早急に検討を進める。
2024年度もKH32C株を接種したイネの栽培試験を行う。根から土壌中に供給される低分子有機物の量・組成に特に着目し、土壌や土壌溶液中の低分子有機物を定量する。また、分子生物学的手法により、メタン生成・酸化や嫌気的有機物分解に関与する微生物群の量や組成の変動を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

2023年度に行う予定であったイネ根のRNA-seq解析および低分子有機物の定量方法の検討の一部を実施しなかったため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、2023年度中に行えなかったこれらの解析・分析にそのまま使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] イネ種子への微生物接種により水田からのメタン排出を削減する2023

    • 著者名/発表者名
      迫田 翠・西澤 智康
    • 雑誌名

      アグリバイオ

      巻: 7 ページ: 14-18

  • [学会発表] Azoarcus属細菌を接種した陸稲を栽培する土壌の細菌叢解析2023

    • 著者名/発表者名
      迫田翠,浦本匠,浅木直美,坂上伸生,妹尾啓史,西澤智康
    • 学会等名
      日本土壌肥料学会2023年度愛媛大会

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公開日: 2024-12-25  

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