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2023 年度 実施状況報告書

乳用牛の難治性蹄病における病変部細菌群の病変深度別網羅的解析

研究課題

研究課題/領域番号 23K19332
研究機関麻布大学

研究代表者

堀 香織  麻布大学, 獣医学部, 助教 (10980782)

研究期間 (年度) 2023-08-31 – 2025-03-31
キーワード乳牛 / 蹄病 / 趾皮膚炎 / ヘアリーアタック / トレポネーマ / Non-healing
研究実績の概要

蹄病は乳房炎・繁殖障害と並ぶ、乳用牛における三大疾病の一つであり、乳量低下、繁殖成績の低下など多大な経済損失を引き起こす。Non Healing Clow Lesions(以下NHCL)は、2008年にイギリスで初めて報告された難治性蹄病であり、蹄の組織壊死・骨融解を伴う深部感染を引き起こし、罹患牛は重度跛行を呈する。本症には効果的な治療法がないため、罹患すれば廃用となる症例が多い。現在、蹄病変における優勢菌の検索が試みられているが、原因や発生機序はいまだ解明されていない。
先行研究において、NHCLの構成菌における感染菌群を定量的かつ網羅的に解析し、過去の研究報告と比較した。その結果、NHCLはBDDから進展した可能性があるという仮説は否定され、また、過去に報告されてきた優勢菌種も、優勢菌ではない可能性が示された。さらに、NHCLの原因と発生機序の解明のためには、NHCLの病態を経時的に解析すること、また、病変部の一部ではなく病変部を三次元的にとらえ広範囲に解析をする必要性が示された。深部に壊死が上行していくNHCLの病態を解明するためには、病変部の深度ごとの構成菌群の比較が必要である。より深部へ上行する細菌が、NHCLの起因菌となりうる可能性がある。NHCL病変を三次元的にとらえ、病変真皮の構成菌群を病変の深度ごとに網羅的に解析することで、NHCLの起因菌および病態解明に近づくと考える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

現在、タイストールの酪農場において、NHCL罹患牛からNHCLサンプルを2個体から6検体採材した。6検体すべて、細菌培養検査、PCR検査、免疫組織化学的検査を行った。16SrRNAアンプリコンメタゲノム解析に関しては、6検体中5検体において解析済みである。
NHCLは全く発生がない農場も多く、また、蹄病変をサンプリングするには、初診で発見しサンプリングすることが条件となる。そのため、検体を集めることに時間を要している。現在、2個体から6検体採材済みだが、目標の検体数には到達していない。採材した検体の解析とともに、引き続き採材を行っている。

今後の研究の推進方策

今後は、さらに採材を進め、検体を増やしていく予定である。計画通り、採材後すぐに、各種細菌検査を行う。病変真皮の構成菌群を病変の深度ごとに網羅的に解析することで、NHCLの起因菌および病態解明に近づくと考えている。結果から、多数の構成細菌群の中で、どの細菌が最も深部まで侵入しているかを考察する。NHCLは重度深部感染を起こす病態であり、その深部感染の起因となる細菌叢を探索することで、予防策の考案につながると考える。成果については学会発表を行い、論文を執筆する予定である。

次年度使用額が生じた理由

これまでの研究では、検体採材数が目標数に達しなかった。今後、目標数まで採材を行う。NHCL病態の分類の診断には、超音波画像診断装置も使用予定である。採材した検体の各種細菌検査を実施する。これまでに採材した検体については、早急に16SrRNAアンプリコンメタゲノム解析を実施する。成果は学会発表と論文執筆を行うことを予定している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 乳用牛の難治性蹄病における病変部細菌群の網羅的解析2023

    • 著者名/発表者名
      堀香織、谷口喬子、佐々木智美、後藤恭宏、安富一郎、三澤尚明
    • 学会等名
      第41回日本獣医師会獣医学術学会年次大会

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公開日: 2024-12-25  

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