研究課題/領域番号 |
23K19359
|
研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
大町 紘平 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 研究員 (30872775)
|
研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
|
キーワード | 細胞外マトリックス / 基底膜 / 幹細胞 / ニッチ / 皮膚 |
研究実績の概要 |
本研究は、皮膚の毛包器官をモデルに、発生・毛周期における上皮幹細胞と基底膜の相互作用の時空間的な変化を明らかにするとともに、その時空間的な分子組成の制御を明らかにすることを目的とする。現所属のこれまでの成果は、独自の上皮幹細胞単離法を駆使し、ECM の産生細胞とタンパク質局在を網羅した毛包のECM アトラスの構築に成功し、ECM 研究を大きく前進させた (Tsutsui et al. Nat Commun. 2021)。本研究は、現在の「ECM アトラス」で明らかになった毛包の上皮幹細胞が産生する ECM 分子の情報を基に、毛包の発生から毛周期全体における基底膜分子の時空間的な変動をsingle molecules fluorescent in situ hybridization (smFISH) と免疫蛍光染色 (IF) を用いて解析し、時間軸・位置情報を加えてECMアトラスをアップデートする。現在、異なる発生ステージのマウス胎仔および成体の皮膚組織サンプルの採取を進めている。また、マウス胎仔サンプルを用いて ECM タンパク質の局在解析に必要な抗体反応条件、凍結組織切片の薄切条件などの検討を行い、基底膜タンパク質の良好な染色が得られる条件を見出した。この条件を用いて、異なる発生ステージでのECMタンパク質の局在解析、他のECM、細胞表面受容体の局在解析に着手している。さらに、どのように ECM の発現が制御されているのかを理解するために、公開されているマウス胎仔の ATAC-seq データの解析に着手している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画の遂行に必要なマウス胎仔の組織サンプルの採取、免疫染色の条件の最適化を行った。このことにより、異なる発生ステージにおいて標的タンパク質を増やしてタンパク質局在の時空間変化を解析することを推進できる状況にある。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに得られたタンパク質局在データの解析を進めるとともに、標的タンパク質、サンプルの数を増やすことでECMの発現変動と組織の形態変化の関連性を明らかにする。また、特徴的な局在を示すECM分子の遺伝子発現をsmFISH等の方法で解析し、どのようにECMの局在パターンが時空間的に制御されるのかを理解する。このことにより、マウス胎仔の表皮が発生ステージを経ながら時空間的に発現変動するECM分子、細胞形質、組織形態の関係性を解明する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
継続的な研究スタートアップのため、2023年度の直接経費の未使用分は2023年度の計画予算に合わせて研究進展のための物品購入や旅費にあてる予定である。
|