研究課題/領域番号 |
23K19387
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
大橋 勇紀 国際医療福祉大学, 薬学部, 助教 (60980852)
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研究期間 (年度) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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キーワード | 尿路結石 / 尿酸 / ABCG2 / トランスポーター / 疫学 |
研究実績の概要 |
プリン体の最終代謝物である尿酸の排泄にはトランスポーターが関わっており、特に尿酸トランスポーターの1つであるABCG2の遺伝子多型は血清尿酸値の規定に強く影響する。ABCG2は機能が半減するQ141Kのアレル頻度は28%と著しく高く、機能を喪失するQ126Xの頻度も1.8%と比較的高い。この2つのSNPsは完全連鎖不平衡の関係にあるため同染色体上に存在しないことが明らかになっており、この2つのSNPsのハプロタイプの組み合わせから、ABCG2機能を推定でが可能である。このABCG2機能低下は腎外排泄低下型高尿酸血症を引き起こすことが知られており、腎外での尿酸排泄低下を介して血清尿酸値を上昇させ、尿中尿酸排泄量を代償的に増加させる。このparadoxicalな尿酸尿酸排泄量の増加は尿路結石症発症のリスクを上げることが想定されるが、ABCG2の遺伝子多型と尿路結石症との関連性を証明した報告はない。本研究では、「分子機能を指標とした遺伝子解析」を尿路結石症患者に実施し、ABCG2の推定機能と尿路結石症との関連性を疫学的な視点で調査した。本年度の中間解析から、尿路結石症のQ141Kのアレル頻度は33.7%、Q126Xのアレル頻度は1.9%であり、健常集団のアレル頻度と比較して高いことが明らかとなった。さらに、両SNPsの組み合わせから推定されたABCG2推定機能を比較すると、ABCG2機能が遺伝的に半分以下まで低下している割合は、尿路結石症患者で16.0%、健常集団で12.1%であった。次年度の調査では、尿路結石症患者の臨床的リアルワールドデータを収集し、ABCG2と尿中尿酸排泄量との関連性を明らかにすることを予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度末の段階で、599例の尿路結石症の患者のリクルートが完了したものの、研究代表者の異動(国際医療福祉大学→名古屋大学)があり、解析の一部が未完了である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度の調査では、尿路結石症患者の臨床検査値情報、特に尿検査情報を収集し、ABCG2機能低下による尿路結石発症のメカニズムを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の異動があり、一部解析が未実施となっている。残額については次年度のDNA調製及び遺伝子解析などに次年度予算と共に用いる。
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